刈谷vs鶴城丘
前半は投手戦の試合だったが、終盤で刈谷打線が一気に爆発
2点目のホームインをする刈谷・平山君
<秋季愛知県大会西三河地区1次トーナメントBゾーン敗者復活戦:刈谷12-6鶴城丘>◇19日◇3回戦
西三河地区は、1次予選のトーナメントで敗退したとしても、敗者復活トーナメントで蘇生できるシステムとなっている。とは言え、初戦敗退からの敗者復活戦はやはり厳しいトーナメントとなる。鶴城丘は最初のトーナメントで豊田北に敗れたが、敗者復活トーナメントで岡崎西と、豊田北に雪辱を果たすなどして3回戦に進出してきた。刈谷は、3回戦で安城に敗れて敗者復活戦に回ってきた。県大会への進出を獲得するにはどちらも負けられない戦いとなった。
淡々とした投手戦という形で始まったこの試合。先制したのは刈谷だった。
3回、刈谷は先頭の8番渡辺が左前打で出ると、すかさず二盗。内野ゴロで三塁に進み、2死三塁となったところで、2番柴田が右前へポトリと落として先制した。4回にも刈谷は内野安打とけん制悪送球で無死三塁のチャンスを得て、4番青山の右犠飛で2点目を奪った。
早い回に追いつきたい鶴城丘だったが5回、相手失策もあって2死一塁となったところで、9番中村の一打は右翼線に落ちる二塁打となって一塁走者が生還。さらに、続く1番黒田の中前打で二塁から中村がかえってたちまち同点。
試合は振り出しに戻って後半戦へ突入していった。
5回まで刈谷は7安打、鶴城丘は3安打ながら効率よく出て2点である。
刈谷の森藤秀幸監督は、ここまで粘って好投してきた斎藤旺介投手を下げて、6回からは背番号4をつけた蜂須賀をマウンドに送り出した。さらに7回、1死二、三塁となったところで、蜂須賀を内野へ回し、1番をつけた重野を3人目としてマウンドに送り出した。しかし、重野自身は万全ではないというところで連打されて2点を奪われ、さらに悪送球もあって計3点が入った。一気に鶴城丘が逆転した。これで、鶴城丘の流れになっていくのかと言うと、そうでもない展開になった。
7回の鶴城丘の得点以降、試合展開そのものが大きく変わっていくことになる。さすがに、疲労の色も出てきた服部もつかまってしまった。
刈谷は8回、先頭の2番柴田が右越え二塁打すると、四球と暴投などで二、三塁として、内野ゴロで1点を返す。さらに2死三塁から失策で1点差とすると、7番堀田の左中間二塁打で二、三塁として、重野の強烈な打球の内野安打と暴投で逆転。鶴城丘の浅井稔監督は、たまらずここで服部を諦めて、捕手の中村真生がマウンドに登った。試合展開としては、一気に乱戦気味になってきたが、8回裏に鶴城丘が1点差を追いついて6対6の同点となった9回、刈谷は打者11人で猛攻。5番神谷の適時打でリードしてから、スクイズ野選や失策などもあって一挙に6点が入って、さすがに決定的なスコアとなった。
結局、刈谷が最後は力でねじ伏せたかなという感じの試合になった。
刈谷の森藤秀幸監督は、「序盤に、何度か、点を取れるチャンスがあったけれど取れなかったことで、こういう展開になりました。チームが若いというか、まだまだ野球を知らないということですね。ただ来た球を打つというだけだったりしていますから…。だけど、こうして公式戦という舞台を踏んでいきながら、チーム力を上げていければいい」という考えだ。ただ、先発した斎藤旺介に関しては、「よく投げたと思う」と、試合を作っていけたことを評価していた。
鶴城丘の浅井稔監督は、「チームが成熟していないということでしょうね。7回に3点リードして8回は、勝ちを意識し過ぎてしまいましたね。そうしていると最後に脆さが出てしまって、こんな結果になってしまいます」と、残念がった。
ただ、ここまでの戦いの中で、もう一度チームを立て直していこうという段階でもあっただけに、秋季県大会はなくなってしまったけれども、じっくりとチームを作って来春へ向けていくということに対しては、課題の整理も含めて、取り組んでいく時間は十分にあるので期待はしたい。
(取材=手束 仁)