刈谷北vs豊野
4対4から刈谷北、7回に打線爆発して一挙12点を奪い決着
刈谷北・田村君は1年生ながら打っては4番。投手としての期待も高い。
<高校野球秋季愛知県大会西三河地区:刈谷北16-4豊野>◇18日◇Dゾーン敗者復活2回戦◇刈谷
秋季愛知県大会の各地区予選は、5地区それぞれの運営となっている。基本的には、新チームとして1つでも多くの公式戦を経験させてあげようという考えに基づいているので、1次予選はリーグ戦とする地区もある。ただ参加校数の多い西三河地区も、かつてはそうしていたが、今大会は4つのゾーンでのトーナメントと敗者復活トーナメントという形になっている。その敗者復活トーナメント2回戦。前の負けをどう捉えて修正して来たかということを試す試合ということにもなる。先の2回戦では、刈谷北は岡崎北に、豊野は西尾東にそれぞれ敗れて、敗者戦へ回って来ての対戦となった。
先制したのは豊野で、2回、2つの死球と梅田の安打で満塁としたところで7番谷澤が中前へ2点適時打。さらにバントで1死二、三塁として、9番長屋のスクイズが安打となり3点目。なおも1死一、三塁で深谷が中犠飛を放ってこの回4点が入り、試合を優位に運んでいくことになった。
しかし、4点を追う刈谷北もすぐに3回、四球と盗塁、内野安打で1死一、三塁とした場面で5番飯海が左犠飛を放って1点を返す。さらに、4回にも2つのバント安打と四球で満塁として、暴投と中犠飛で2点を返して1点差とした。これで試合の流れそのものもわからなくなってきた。刈谷北は3回から藤井将太監督は先発前川を下げて、1番をつけた清水を送り出すが、これで試合のリズムも少し変わってきたのだろう。
5回から、豊野の梶野裕也監督は長屋から小林にスイッチしたが、刈谷北は小林に対してもバント安打の悪送球と送りバントなどで1死三塁として、6番間瀬が中犠飛を放ってついに同点に追いついた。刈谷北はその裏、3四球でピンチを作るが、清水が何とか凌ぎ切って4対4のまま後半に突入した。
こうなると、次の1点がどちらにどういう形で入るのかというところで、試合の流れが大きく左右される。7回から、豐野ベンチは背番号1の桃澤を投入。
ところが、これが思わぬ大誤算になってしまった。
3番堀内からの刈谷北は、まず右前打で出ると、続く田村が右中間を破る三塁打でこの試合初めてのリードとなる5点目が入る。さらに、板垣が中前打。間瀬も遊撃強襲安打で続き6点、7点目が入る。こうなると刈谷北の攻撃は止まらなくなってしまい、バントで送った後は振り逃げで2者がかえる。さらに外野落球と飯海、堀内、田村の連打などが続き、この回だけで打者16人の猛攻で、一気に決着となった。
藤井将太監督は、7回の攻撃に関しては、「このチームでこんな点の取り方をしたのは初めてですよ。あそこで、投手の球が速くなってきたので、却ってそれでスイッチが入って勢いづいていったのでしょうか」と、止まらない打線の爆発には監督もびっくりしていた。
刈谷北は来年3月には、すぐ隣にある豊田自動織機のグラウンドを学校として使用契約する運びとなっており、専用球場など、環境が充実していくということだ。「それだけに、この大会でいい成績を挙げておいて、来年以降の入学希望の新入生に対してもアピールしておきたい」という思いも、一層強くなっているようだ。
(取材=手束 仁)