試合レポート

高松商vs九州国際大付

2022.08.15

2打席連発男が今度は足で勝利を演出、高松商・浅野のポテンシャルの高さ光る

高松商vs九州国際大付 | 高校野球ドットコム
浅野 翔吾(高松商)

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夏の甲子園の勝ち上がり

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第104回 全国高等学校野球選手権大会

<第104回全国高校野球選手権大会:高松商2-1九州国際大付>◇15日◇3回戦◇甲子園

 初戦、ダイヤモンドを悠々と2度、回った高松商(香川)の浅野 翔吾外野手(3年)が、この日は「スピードスター」に変身した。初回に内野安打で出塁すると二盗に成功。適時打で二塁から先制のホームを踏んだ。チームは僅差の1点差勝利で、1970年以来、52年ぶりのベスト8。スラッガーでありながら、快足の1番打者が、快挙を演出した。

 佐久長聖(長野)戦で2打席連続本塁打を放った浅野と、緩急自在の九州国際大付(福岡)先発の香西 一希投手(3年)の対決が楽しみだった。香西はセンバツも、今夏の初戦も120キロ台の直球に、スライダー、カットボール、チェンジアップを交えて打たせる投球が得意。その投球術が今夏注目度No.1の浅野に通用するのか、そこが焦点だった。

 初回の対決は香西が打ち取った形になった。チェンジアップでタイミングを外し、二塁手方向への内野ゴロだった。しかし浅野はスピードたっぷりの全力疾走でセーフ。確かに高く弾んだ打球だったが、守備にほころびはなかった。足で稼いだ内野安打だった。

 2番打者が犠打を試みるも三振に倒れると、3番打者の初球に二盗を試みた。左投手の香西にもかかわらず果敢にスタートした。九州国際大付のプロ注目・野田 海人捕手(3年)も、外角の変化球を捕球して素早く送球したが、ワンバウンドになった。浅野の盗塁のスピードにやや焦ったのか、強肩で知られる捕手が「らしく」なかった。その後4番の山田 一成内野手(3年)の左前安打で、浅野はまたもスピードを生かして先制のホームインを果たした。

 勝ち越しの場面では、しっかり「つなぎ役」を演じた。1対1で迎えた4回2死一塁で打席に入ると、打ちたい気持ちをグッと抑えて冷静に四球を選んだ。2番打者・井桜 悠人外野手(3年)が「四球の後の初球」のセオリー通り、初球の外角へのカットボールを積極的に打ちに行って右前適時打。これが決勝点となった。左打者の井桜はそれまで空振り三振(バント)、見逃し三振に終わっていたが、勝負にいって挽回した。

 浅野に本塁打はおろか、クリーンヒットはなかった。それでも足で出塁し足で得点を演出すると、「存在感」で四球で選び決勝点を演出した。打ってもよし、走ってもよし。170センチ、86キロの体型からはあまりイメージできないが、実は50メートル走5秒9の「走れるスラッガー」。甲子園で、それを証明してみせた。

 九州国際大付は浅野には打たせず、2点に抑えた守りは見事だったが、自慢の攻撃陣が沈黙してしまった。打線の柱である3番・黒田 義信外野手(3年)と4番・野田に安打がなかったのが響いた。5番を任された佐倉 侠史朗内野手と、7回からリリーフした池田 悠舞投手は2年生。この日放ったチーム7安打中、2年生が放ったのは5本だった。夏の舞台でつかんだ課題と自信を胸に、来年の夏こそは輝いてほしい。

(記事=浦田由紀夫

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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