大阪桐蔭vs聖望学園
圧勝の大阪桐蔭 25安打のうち13安打が「2球目」以内の凄み
松尾 汐恩(大阪桐蔭)
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<第104回全国高校野球選手権大会:大阪桐蔭19-0聖望学園>◇14日◇2回戦◇甲子園
長打(本塁打、三塁打、二塁打)を書き写すとき、たくさんありそうで手間だなと思ったが、「大阪桐蔭19―0聖望学園」のスコアから連想させるほど多くはなかった。
長打はすべて大阪桐蔭で、三塁打は丸山 一喜内野手(3年)が1本、二塁打は工藤 翔斗捕手(3年)と伊藤 櫂人内野手(3年)が放った1本ずつで、本塁打だけは松尾 汐恩捕手(3年)が2本放ち、スコアの壮絶さを反映しているが、長打が少なかったことに変わりはない。もちろん、多かったのは単打である。ここで大阪桐蔭各打者が2球目までに放ったヒットを紹介しよう。
丸山は1回に初球を三塁打、4回に初球を単打、工藤が8回に2球目を二塁打、9回に初球を単打、伊藤は4回に初球を単打、7回に初球を単打、9回に初球を二塁打、松尾は6回に2球目を単打、8回に2球目を本塁打にした。
その他、田井 志門外野手、海老根 優大外野手、大前 圭右内野手(いずれも3年)、村本 勇海内野手(2年)が、2球目までの早いカウントでヒットを1本ずつ放っている。25安打のうち実に半分以上の13安打である。チームの主軸の1番伊藤、3番松尾、4番丸山が率先して早いカウントで打って出て、チームに好球必打の流れを引き入れているように私には見えた。
バントの少なさも目を引いた。1回に伊藤が四球で出塁し、2番の谷口 勇人外野手(3年)がバントで送った1回だけ。6対3だった1回戦の旭川大高(北北海道)戦も7回に敢行した1回だけなので、今年のチームはバントが少ないのかもしれない。
2回は1死一塁の場面で、9番前田 悠伍投手(2年)が二塁への内野安打を放った。3回の1死一塁の場面では、田井が盗塁で二塁に進んだあと、8番鈴木 塁内野手(3年)の中前ヒットで生還している。優勝したセンバツでは、僅少差になった1回戦の鳴門(徳島)戦で2犠打を記録しているが、「わずかに2回だけ」と言ったほうがいいかもしれない。
投手では初登場の前田が抜群のピッチングを見せた。直球の最速は142キロと平凡だが、縦変化のチェンジアップとスライダーのキレが抜群で、聖望学園(埼玉)打線が放ったヒットは4回に放った遊撃への内野安打を含む2本だけ。
スイッチヒッターで右打席に入った7番荒江 思優内野手(3年)を含むスタメン中7人の右打者の内角に、スライダー、チェンジアップをねじ込み、踏み込みを許さなかったことが好投の一因と言っていいだろう。奪った三振は5回までで9個。直球が4個、変化球(スライダー、チェンジアップ)が5個という内訳を見ても、緩急のバランスがよかったことがうかがえる。
(記事=小関 順二)