試合レポート

九州学院vs帝京第五

2022.08.14

九州学院が3回戦へ 技巧派捉え19安打 逆方向に11本

九州学院vs帝京第五 | 高校野球ドットコム
村上慶太

九州学院vs帝京第五 | 高校野球ドットコムトーナメント表
夏の甲子園の勝ち上がり

九州学院vs帝京第五 | 高校野球ドットコム関連記事
ダントツの優勝候補の大阪桐蔭は何が凄いのか?大阪桐蔭に対抗できる優勝候補8校もピックアップ
第104回大会 全国47都道府県地方大会の日程一覧
甲子園注目選手

九州学院vs帝京第五 | 高校野球ドットコム大会の詳細・応援メッセージ
第104回 全国高等学校野球選手権大会

<第104回全国高校野球選手権大会:九州学院14-4帝京第五>◇13日◇2回戦◇甲子園

 1回表、帝京第五(愛媛)の先頭打者がストレートの四球で出塁。2番がバントで送ったあと3番の岩来太陽内野手(3年)が右中間に二塁打を放って先制点を奪うのだが、その裏、九州学院(熊本)は打者9人を送る猛攻で5点を奪い、あっという間に逆転した。

 この1回裏の攻撃で目立ったのが九州学院各打者の逆方向に打とうとする意識の強さだった。帝京第五の先発、積田拓海投手(3年)は、120キロ台の直球に90キロ台のチェンジアップとスライダーを織り交ぜる右腕の技巧派。技巧派と言っても、内角にはほとんど投げてこないので、打者は思い切って踏み込めるが、強引に引っ張りにかかれば平凡なフライアウトを連発する恐れがあった。しかし、このときの攻撃では、1番の左打者、大城戸陸琥外野手(2年)が左前安打、3番の右打者、園村慧人外野手(3年)が右方向へのポテンヒット、7番の右打者、渡辺拓馬捕手(2年)が右方向への二塁打と逆方向への打球が多かった。

 技巧派を攻略するキーポイントは逆方向への打球、というのは誰でも知っているが、踏み込むタイミングで内角を攻められれば平凡な内野ゴロを量産することになる。WBC(ワールドベースボールクラシック)で活躍したアンダーハンドの渡辺俊介投手(元ロッテなど)、牧田和久投手(元西武など)は内角球への意識付けとスピードの緩急で打者を翻弄したが、直球に速さがない技巧派こそ打者を攻め込む意識、具体的には内角を攻めることが求められる。しかし、帝京第五が繰り出す積田、坂本大悟投手(3年)、國方蓮投手(2年)は、いずれも内角を突かない技巧派だった。それに対して九州学院各打者が放った19安打のうち、センターから逆方向に達したのは11本もあった。勝敗を分けたポイントと言っていいだろう。

 私が注目したこの試合のもう1つのポイントは九州学院の4番、村上慶太内野手(3年)の存在である。実兄はセ・リーグの三冠王を射程内にとらえているヤクルトの4番、村上宗隆内野手(九州学院出身)で、体格は宗隆の188センチ、97キロに対して、慶太は190センチ、94キロ。肉体面では慶太のほうが勝っている面もある。顔も似ているし、動画で見ると打席内の構えも似ている。兄、宗隆の高校時の素質と完成度を弟、慶太に求め、熊本まで出向き見ようとしたが(雨天順延で予定が狂い、見られなかった)、宗隆は唯一無二の存在で、たとえDNAや親からの愛情を同等に受けても、その牙城に容易に迫れるものではないということを痛感させられた。

 最も大きな違いはミートポイントの位置である。宗隆が捕手寄りなのに対して弟の慶太は投手寄り。直球に差し込まれてもそこから押し込む自信があるから、捕手寄りにミートポイントを置くことができる宗隆に対して、慶太はそういう自信がないから、投手寄りで球を捉えようとする。捕手寄りで球を捉えられれば、そこが慶太の偉大な兄に迫る第1歩になる。

(記事=小関 順二

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.11

【2024年最新版 スーパー中学生リスト】 関東地区の強豪校注目の遊撃手、高校スカウト殺到の大型左腕、中村剛也の長男など38人をピックアップ

2024.05.11

名門・東海大相模の進路紹介!プロ注目打者は東洋大、エースは中央大で早くもリーグ戦に出場!

2024.05.11

【新潟】プロ注目右腕の帝京長岡・茨木が完封、日本文理とともに決勝進出<春季県大会>

2024.05.11

シニア日本代表が発表!選抜大会準優勝の主力打者、ベスト4の主将、優秀選手などが選出!

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在28地区が決定、長野では松商学園がノーシードに

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【関東】山梨学院と常総学院がそれぞれ優勝、出場校の対戦が確定<春季大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>