試合レポート

明秀日立vs鹿児島実

2022.08.11

明秀日立が1点差勝ち ドラフト候補3人がそれぞれ持ち味を発揮

明秀日立vs鹿児島実 | 高校野球ドットコム
佐藤光成(明秀日立) ※写真は過去の大会より

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第104回 全国高等学校野球選手権大会

<第104回全国高校野球選手権大会:明秀日立2-1鹿児島実>◇10日◇2回戦◇甲子園

 チーム安打は鹿児島実(鹿児島)6、明秀日立(茨城)6、得点は明秀日立2、鹿児島実1と僅差だったが、エラーは明秀日立1に対して鹿児島実4と大差がつき、これが勝敗を分けた。

 序盤は鹿児島実が押した。2回が二、三塁、3回が満塁から押し出しの四球で先制、4回も走者を二塁に進めている。この序盤のチャンスにもう少し得点が取れていれば結果は変わっていただろう。

 〝ドラフト候補″という視点で見れば、0人の鹿児島実に対して佐藤光成外野手、石川ケニー外野手、猪俣駿太投手(すべて3年)が揃う明秀日立が勝っていた。

 4番打者としての注目度が高い石川は先発を務め、投手としての素質のよさも示した。直球の最速は142キロを計測し、縦・横のスライダーを備え、投球フォームも本格派らしく堂々としている。1回は1番から3番を三振に仕留め、いいほうの石川が顔をのぞかせる。それが3回には3つの四球を与え、5番打者にカウント3ボール1ストライクとなったところで降板。投球フォームを「本格派らしく堂々としている」と誉めたが、ステップしてからの体の割れが不十分なため球持ちが短く、コントロールが一定しないというのが弱点。それが一挙に噴き出した。

 石川のあとを引き継いだ猪俣は濵﨑綜馬捕手(3年)への初球がボールで押し出し四球となり1点を与えたが、それ以降は6.1回を被安打4、与四死球0に抑え安定していた。センバツでも鹿児島大島(鹿児島)、市立和歌山戦に先発したが、直球の最速は市立和歌山戦の138キロだった。それがこの試合では145キロまで上がり、これにスライダー、カーブ、フォークボールをおり交ぜ、鹿実打線にスキを見せなかった。

 もう1人のドラフト候補、佐藤はセンバツで鹿児島大島の大野稼頭央投手(3年)、市立和歌山米田天翼投手(3年)という好投手からヒットを放ったときから注目していた。いいのは球を長く見られるところ。8回裏、バットを内側から押し出し中前に運んだ一打は差し込まれ気味だったが、この「押し込まれ気味」というのがミソ。差し込まれても押し返す自信があるから、捕手寄りのミートポイントで打てるのだろう。これはメジャーリーグでホームランを打ちまくる大谷翔平(エンゼルス)にも通じる長所である。

 ちなみにこの日の午後2時頃、隣の朝日新聞の記者席に設置されたテレビモニターにNHKのニュース画面が流れ、大谷が投手として10勝目を挙げたことが紹介されていた。翌日、投手としての2ケタ勝利、打者としての2ケタ本塁打はベーブ・ルース(元ヤンキース)以来、104年ぶりの快挙と大きく報じられたが、この試合でも私はしばらく夢見心地で試合を見ていた。この大谷と数は少なくても共通する長所を持つ佐藤は、それだけで大したものだと思う。

(記事=小関 順二

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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