天理vs山梨学院
初球の入りが勝敗を分けた、天理・南澤が1失点完投勝利
天理・南澤 佑音 ※写真は過去の大会より
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<第104回全国高校野球選手権大会:天理2-1山梨学院>◇8日◇1回戦◇甲子園
互いに今センバツに出場した天理(奈良)と山梨学院(山梨)の強豪同士の対戦は、前評判通りに大接戦となった。点差通り、勝敗を分けたのはわずかな差だったと思う。
天理は、まさにここぞの場面で集中力を発揮した。1点をリードで迎えた6回、2死走者なし4番で主将の戸井 零士内野手(3年)がこの日2本目となる二塁打で出塁。すると続く5番・山村 侑大捕手(3年)が初球の直球をたたいて左翼線へ適時二塁打を放った。見事にワンチャンスをものにして大きく勝利を手繰り寄せる2点目を奪った。
その直後の7回表、先発の南澤 佑音投手(3年)が1死二塁のピンチを背負う。そこで南澤ー山村バッテリーが次打者への初球に選んだのはスライダー。それも外角ギリギリの勝負球のような厳しいコースをついて見逃しストライクを奪った。初球を含めて3球スライダーを続け、4球目にボールの直球を挟み、5球目にスライダーで空振りの三振を奪った。次打者へは3球連続スライダーを続けて空振り三振を奪った。クレバーな制球力抜群の投球でピンチを乗り切った。
山梨学院バッテリーはピンチの初球でカウントを取りに行く直球を選択し、天理打線に適時打を浴びた。天理バッテリーは初球から自分の勝負球のスライダーで入って打者の打ち気をそらした。1点差ゲームとなったこの対決の勝敗の分かれ目はここだったと思う。
南澤は8回まで無失点。9回にこそ1点を奪われたが、最後もスライダーで打ち取って2死二塁の一打同点のピンチを切り抜けた。2回と8回以外は、すべて走者を背負う投球だったが、スリークォーターから針の穴を通すかのような右打者への外角スライダーを出し入れして切り抜けた。投手は剛速球がなくても強力打線を抑えられる。そのお手本のような投球だった。
山梨学院は、この日のスタメンに2年生4人が入っていた。9回に打点をマークした岳原 陵河外野手、2安打した高橋海翔内野手、2番の進藤 天内野手、そしてマスクをかぶった佐仲 大輝捕手。この敗戦が山梨学院の2年生を大きく成長させ、来年甲子園で花を咲かせることを祈る。