花咲徳栄vs川越東

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　＜第104回全国高校野球選手権埼玉大会：花咲徳栄10－2川越東＞◇23日◇準々決勝◇県営大宮

　いよいよ、花咲徳栄が仕上がってきた。

　優勝候補Cシード・花咲徳栄とDシード・川越東との一戦である。

　先発は花咲徳栄が金子 翔柾（3年）、一方の川越東が伊藤 匠海（3年）と両エースが登板し試合が始まる。

　先制したのは、花咲徳栄であった。

　初回、川越東・伊藤の立ち上がりを攻め、2死から3番・藤田 大晴（3年）が三塁線を破る二塁打を放ち出塁すると、続く柴田 樹（2年）が左翼席へ2ラン本塁打を放ち花咲徳栄が幸先良く2点を先制する。

　川越東もその裏、花咲徳栄・金子の立ち上がりを攻め、先頭の種田 太一（3年）が三塁への内野安打で出塁すると、続く神保 直希（3年）がきっちりと送り1死二塁とする。ここで3番・小林 舜（3年）が中前へポトリと落ちる安打を放ち1死一、三塁とする。だが後続が連続三振に倒れ無得点に終わる。

　花咲徳栄は2回表にも1死から8番・金子がソロ本塁打を放ちまず1点、さらに続く新井 大貴（2年）が左前安打を放ち出塁すると、2死後2番・山田 慎之介（3年）が四球を選び2死一、二塁とする。ここで続く藤田が右前安打を放ち川越東・伊藤をマウンドから引き摺り下ろすと、代わった2番手・名取 由晃（2年）に対し4番・柴田が押し出し四球を選び4点差をつける。

　川越東もその裏、この回先頭の大野 弘高（3年）が左翼フェンス直撃の二塁打を放ち出塁すると、続く石川 了雅（2年）がきっちりと送り1死三塁とするが、8番・山中 悠生（2年）のスクイズが失敗に終わり無得点に終わる。

　これで流れをつかんだ花咲徳栄は3回表、1死から7番・上田 光浩（3年）が死球で出塁すると、続く金子のところで花咲徳栄ベンチはエンドランを敢行する。これが、見事に決まり1死一、三塁とチャンスを広げると、9番・新井がスクイズを決めまず1点、さらにここから1番・齊藤 海（2年）、2番・山田、3番・藤田の3連打で2点を追加し早くも7点差をつける。

　花咲徳栄は6回表にも、この回先頭の前田 空（3年）が四球を選び出塁すると、続く増田 空（2年）も四球を選び無死一、二塁とする。続く上田もきっちりと送り1死二、三塁とすると、ここで8番・金子が左中間へ2点適時二塁打を放つ。2死後、1番・齊藤も中前適時を放ち10点差をつける。

　一方の川越東の反撃はその裏、この回からマウンドに上がった2番手・鈴木 羚也（3年）を攻め、この回先頭の小林が中前安打を放ち出塁すると、続く白水 大陸（3年）の遊撃内野安打で無死一、二塁とする。1死後、6番・大野が犠飛を放ち1点を返す。

　川越東は7回裏にも、1死から1番・種田が左翼線への二塁打を放ち出塁すると、2死後、小林が中前適時打を放ち1点を返す。その後、2死満塁とするが後続が倒れ万事休す。

　結局、花咲徳栄が10対2と7回コールドで勝利し準決勝へ駒を進めた。

　一方の川越東はとにかくエース伊藤が誤算であった。だが、今大会は手術明けぶっつけ本番のような形で、フル回転していただけに責められない。前回の市立川越戦の記事でもポイントに挙げたが、こういう
　試合はむしろ打線がカバーしなければいけないが、昨秋金子から8安打を放った打線もこの日はチャンスこそあれど、1本が出なかった。やや金子へのスライダー対策に関しても不徹底であった印象を受けた。

　最後に伊藤は今後の進路について
「プロと言って来ましたが、力の無さを実感したので大学も含めて考え直したい」（伊藤）
と語った。それでいいと思う。この日の悔しさを活かしOBの高梨 雄平や高橋 佑樹のように大きく育ってほしい。

　一方の花咲徳栄だが、
「今日は相手の左投手をうまく攻略してくれた。少し疲れ気味かなと思って変化球で交わしにくるかなと思っていたら結構真っ直ぐが良かったので真っ直ぐ狙いで。大会序盤は緩い球に合ってなかったから、今日みたいに（速い球で）来てくれると（タイミングが）合うかなって」（岩井監督）
と、エース金子も含め打線も尻上がりに状態を上げつつある。しかも、コールドで切り抜けたことで、連戦となる明日準決勝への金子の消耗を最小限に抑えることができた。ただし、明日の相手はライバル・浦和学院だ。余談は許さない。金子がメインとなることに違いはない。昨秋既に登板し既に攻略されている鈴木や飯島は投げるとしても短いイニングか。ここ数試合出番のない左サイド熊倉 柚（3年）を含め岩井監督がどのような投手起用を見せるかが鍵だ。いずれにせよ、明日は夏5年ぶりとなる浦和学院との対戦。

「ここまでは絶対上がって来なければいけないと思っていたので。明日は思いっきりやらせます」（岩井監督）
　プライドをかけた戦いとなるに違いない。

（取材＝南 英博）