都立小平南vs都立田無
1本の不運な安打で流れが変わり、都立小平南後半一気の攻めで8回コールドの勝利
6回小平南・常谷優佑決勝適時打を放つ
<第104回全国高校野球選手権西東京大会:小平南10-2田無(8回コールド)>◇16日◇3回戦◇[stadium]府中市民[/stadium]
都立小平南は増子 良太監督が病欠のため、ベンチに入れなかった3年生の鈴鹿 大喜が臨時監督となった。そのため3年生が中心となって試合を進めた。一方のベテランの島 修司監督率いる都立田無は、大会出場選手を全て選手間の投票で決めている。
そうした選手の自主性を重んじる都立校対決となった一戦で、最初に主導権を握ったのは、田無の方だった。2回裏小平南の先発、背番号13の2年生・魚返 真瑚が1死後連続四球で一、二塁とし、8番の上西遼真が送り、9番・大平 密英の三遊間に転がる内野安打で2人が還り、2点を先制した。しかし、3回、4回、5回とチャンスを作りながら、あと1本が出ず得点できなかったことが結果として響いた。
田無の先発・背番号1の2年生・阪本c誠一が、スライダーなどを駆使して前半は得点を与えない。しかし1本の当たりが流れを変えた。6回表1死後小平南の2番・村上 大樹は平凡な一ゴロ。これを一塁手が足を滑らせて内野安打となった。グラウンドは前夜からの雨でかなりぬかるんでいた。本来なら2死走者なしとなるところが、1死一塁になり、さらに続く3番の西田丈太朗を四球で歩かせる。こうなると流れは小平南に傾き始める。4番・大谷侑吾は中飛に倒れ、タッチアップはできない。けれどもこの試合当たっている5番・船木剛生が右方向に流して右翼線への二塁打となり2人が還り、同点となる。「ストレートを狙っていました。アウトコースをしっかり流しました」と船木は語る。
一方、同点打を打たれて「頭が真っ白になりました」と言う田無の阪本は、続く常谷 優佑に左前安打を打たれ、船木が生還。小平南が逆転した。
田無の阪本は100球を超えると球威が落ちるという。そのため7回が終わったところで降板。8回表の小平南の攻撃で、田無はやや変則の大久保 颯太、遊撃手の志甫 柊真をマウンドに送ったが、小平南に集中打を浴びる。最後は右翼を守っていた先発の阪本を再度マウンドに上げたが、この回7点を失い、10―2の8回コールドが成立し、小平南が勝利を収めた。
実力はコールドになるほど開いていないと思われるが、ちょっとプレーが試合の流れを変えることがある。ただそこを踏ん張るのはエースの役目であり、田無の阪本は2年生だけに、島監督は「もう少しキレを出してほしい」と語った。
勝った小平南は、次戦は増子監督が戻ってくる予定。「監督が戻ってくるまで勝てて良かったです」と主将の白田次宏は語る。次は創価と都立総合工科の勝者の対戦になる。どちらが来ても難敵だけに、チーム一丸となっての戦いが注目される。
(取材=大島 裕史)