川越東vs春日部工
川越東・伊藤11奪三振7回無失点。復活への第一歩
<第104回全国高校野球選手権埼玉大会:川越東6−0春日部工>◇11日◇2回戦◇[stadium]大宮市営[/stadium]
プロ入りを目指す最速140キロ左腕・伊藤 匠海(3年)を擁するDシード・川越東対春日部工との一戦である。
まずはスタメンだが、川越東は春季大会の変更点は春5番の大野 弘高(3年)が6番に入り、5番には渡邊 航大(3年)が入る。
そして先発は川越東が伊藤、一方の春日部工は背番号20の大塚 洸太(3年)が先発し試合が始まる。
試合序盤はやや春日部工ペースで進む。
春日部工は2回表、1死から5番・小森 寛大(3年)が四球を選び出塁すると、2死後7番・須藤 奏(2年)が右前安打を放ち2死一、二塁とするが後続が倒れ無得点に終わる。
先制したのは川越東であった。
打順が2巡目を迎えた4回表、先頭の種田 太一(3年)が左越えの三塁打を放ち出塁すると、続く神保 直希(3年)がきっちりと犠飛を放ち1点を先制する。
これでやや緊張感が解けたか川越東は6回裏、2番手のエース野内 雄太(3年)に対し、2番・神保が右中間へ二塁打を放つと、続く小林 舜(3年)の右前適時打をライトが後逸しタイムリー三塁打となり1点を追加する。
川越東は7回裏にもこの回先頭の渡邊がサード強襲ヒットを放ち出塁すると、1死後、相手暴投で二進する。2死後、8番・山中 悠生(2年)が四球を選び2死一、二塁とすると、代打・諸橋 遼人(3年)が中前適時打を放ち5対0とし試合の大勢は決まった。
川越東は8回裏にもこの回先頭・小林の右中間への二塁打を足がかりとし、途中出場の福島 惇也(3年)が右前適時打を放ち勝負あり。
投げては、先発の伊藤が7回5安打無失点で切り抜けると、8回からは右サイド名取 由晃(2年)が2イニングを無失点で抑え川越東投手陣が完封リレーを飾る。
結局、川越東が6対0で初戦突破した。
まずは春日部工だが、先発の技巧派・大塚は4回1失点とゲームを作っていた。悔やむべくは6回表、2死二塁から4番・関 栞太郎(3年)が右前安打を放ったが、二走は三塁でストップし後続が倒れた場面か。ギャンブルで仕掛けても良い部分であったか。
一方の川越東だが、序盤は初戦の緊張感もあり苦しんだが、2巡目以降は徐々に本来の打撃を取り戻してきた。
「伊藤が投げられたことが一番の収穫」(野中監督)
投げては昨年11月に胸郭出口症候群のため手術を受け、今春はベンチ外であったエース伊藤が復活へ向け、7イニング106球を投じたことは収穫だ。この日の球速は最速137キロで直球がバラつくなど課題はあるが、それでもこの日は変化球が冴え11三振を奪った。
「プロへ行きたい。球の重さやそのためには体重を増やすことは大事かなと。ただ焦らずに。急に増やし過ぎても、うまくその体重を使えなくなる可能性があるので慎重に」(伊藤)
と、大学進学率が高い川越東では珍しく冷静にかつ大きな夢を語る伊藤。この日ずらりと並んだスカウトの前でインパクトを残すまでには至らなかったが、徐々に感覚を取り戻し上位まで進出すると評価も変わるかもしれない。彼の今後に期待したい。
(取材=南 英博)