鎌倉学園vs横須賀
県内屈指の速球派右腕が圧巻の好リリーフ、鎌倉学園が初戦突破
松本直
＜第104回全国高校野球選手権神奈川大会：鎌倉学園8－2横須賀＞◇10日◇1回戦◇サーティーフォー保土ケ谷球場
鎌倉学園vs神奈川横須賀の対決。
鎌倉学園は、エースの松本直投手ではなく、これまで登板が多かった木村王星投手（3年）が登板した。木村はそれほど上背はないが、回転の良い直球をテンポよく投げ分け、淡々とゲームメイクをしていく投手だ。スライダーのキレもよく、神奈川横須賀打線を抑えていた。
打線は3回裏に内野ゴロの間に1点を先制し、4回裏にも木村の適時打で2点を先制。しかし5回表、横須賀が追い上げ、同点に追いつく。5回2死満塁の場面で2番手・松本が後続を抑えると、5回裏、鎌倉学園は主将・佐々木晴生内野手（3年）の適時二塁打で勝ち越しに成功した。
エースの松本はチームのピンチを救う圧巻のピッチングを見せる。
春の時点では140キロ後半、直球の平均球速が140キロ超えという全国トップレベルの速球投手であることを証明した松本だが、コマンド力がだいぶ上がったといえる。
内外角へしっかりと投げ込むだけでなく、追い込んだ時の直球がネット裏から浮き上がって見えるほど伸びていた。松本は結構気持ちを入れて投げる投手だが、春まで見られた力みはあまりなかったように感じられる。
自分の意図通りに直球を操ることができており、直球主体でありながら、内外角ヘ投げ分けができるので、コンビネーションを感じられる。
春季県大会初戦で横浜創学館に敗退。制球力を乱して5回降板と悔しい内容で終わったが、その松本が春季大会後に取り組んだのが、駄目な時こそ、どう平常心で投げることができるか。練習、練習試合でもそのことを意識しながら、投げてきた。そして投球フォームにおいて動作の見直しを行ってきた。
課題として力むと抜け球があると語っていたが、春と比べると抜け球は少なくなり、4.1回を投げて四死球0、7奪三振と、安定感があった。
エースを援護しようと、打線は相手の守備のミスからチャンスを作り、後半で畳み掛け、8対2と突き放した。
苦しい試合を制し、竹内監督も「初戦は厳しい試合になるのは想定しました。松本も、先発した木村も、野手も、春から成長した姿が感じられました」と選手たちをたたえた。
この試合を見ると、ここぞという場面で140キロ中盤の速球を投げ込むリリーフの松本は相手にとっては脅威的。先発・竹内のプランもあると思うが、上位進出の鍵は試合後で竹内監督が話していたように木村をはじめとした控え投手陣の踏ん張りが鍵になるのではと思わせる試合であった。
鎌倉学園に試合中盤まで接戦を演じた横須賀。県内屈指の速球派右腕から3安打を打つなど見せ場を作る
尾澤秀佑
＜第104回全国高校野球選手権神奈川大会：鎌倉学園8－2横須賀＞◇10日◇1回戦◇サーティーフォー保土ケ谷球場
敗れた神奈川横須賀だが、最後まで互角に戦えたといえるのではないか。
先発の尾澤秀佑投手（3年）は最後までスローボールで攻めることを貫いた。このゆるいボールに鎌倉学園打線は手こずり、前半は点をとっても、鋭い打球での適時打を許さなかった。
またシートノックを見る限り、内野、外野ともに鍛えられており、しっかりした体格や、フィジカルを持った選手がいるわけではないが、自分ができることをやる。身の丈に合ったことができる選手たちだった。ピンチの場面でも慌てずに勝負できる選手が印象的であった。
今年は打撃のチームという神奈川横須賀。それが表れたのは5回表。8番神谷歩人内野手（3年）から4者連続安打で2点を入れ、同点に追いつく攻撃は見事だった。5回2死満塁で、鎌倉学園はエース松本直投手（3年）を投入。神奈川横須賀の石井監督は「ここからが勝負だよ」とエースと対してから本番と伝えてきた。
しかし松本の剛速球の前に7奪三振。さらに守備も乱れて、2対8と点差が大きく開いてしまったが、要所では良いプレーがあった。自慢の打線も松本から3安打。クリーンナップは振れる打者が多く、しっかりと見せ場を作った。
（取材＝河嶋 宗一）
