三好vs日進西
スクイズで逆転した三好が8回、1年生が躍動し大量5点で突き放す
<第104回全国高校野球選手権愛知大会:三好7-1日進西>◇9日◇1回戦◇豊田運動公園
県を代表する進学校の一つでもある刈谷で2009年には準優勝に導くなどの実績を挙げた岡田 泰次監督が昨年三好へ異動してきて、この新チームから指揮を執っている。春季大会は西三河地区ブロック予選で敗退して県大会進出はならなかったが、新入生も22人が入部してチームにも活気が溢れている。そして、この試合でも1、2番と4番榎並ら1年生5人がスタートメンバーに名を連ねていた。
日進西は、尾東地区の中核校として近年力を示してきている。今春は名古屋地区1次予選では東邦に1対8で敗退し、敗者復活戦でも春日井に乱戦の末に敗退。県大会進出を逃して悔しい思いもした。しかし、新入生も17人が入部して、部員不足で苦労する公立校も多い中で、総勢49人で、上位進出を目指している。
そんな両校の対決。日進西は尾崎 圭、三好は水谷 優斗の先発で始まり、ともにまずまずの立ち上がりだった。
先制したのは日進西。3回2死走者なしから2番北野が左前打すると、続く澤田 俊介も続いて一、二塁。4番中村 陽太の打球は痛烈に一塁を襲う安打となって二塁走者が生還。2死から鮮やかな3連打での先制となった。しかし、三好の水谷もその後は丁寧な投球で抑えていき、追加点は許さないでいた。そして、三好打線も5回を除いて毎回安打の走者を出していた。
1点を追いかける三好は6回、先頭の3番古瀬が三遊間を破る安打で出塁すると、続く榎並のバントが失策を招いて一、二塁。水谷がしっかり送って1死二、三塁。6番山田はスクイズを成功させて、さらに送球もそれて、なおも1死一、三塁。この場面でもすかさず一塁線へスクイズで逆転。さらに安打と四球で三好は2死満塁と攻め立てたが、日進西の尾崎も何とかここは踏みとどまった。
ただ、三好の岡田監督は、「相手の投手は完投してくるだろうから、後半は疲れが出てくるだろうから、チャンスはあるとみていた」とみていたと言うが、それが8回に当たった。
この回の三好は1死から、8番岩崎、続く神谷、1番の丸山、2番黒木と4人続いた1年生が立て続けに安打して3点を追加。さらに3番古瀬が右中間を破る三塁打で、送球がそれる間に自身も生還してこの回5点が入った。古瀬は初回に二塁打も放っており、3年生としての意地を見せた。
そして、このリードで三好の水谷は9回もスイスイと投げて、3人で抑えた。最後は、センター岩崎が大きな飛球をフェンスギリギリで捕球する好守備で終わった。
三好は、今春に1年生が入って来てから、もう一度チームをシャッフルして0から作り直したという。岡田監督は、「まだまだ発展途上のチームですよ」と言うが、「6回のスクイズなど、練習でやってきたことがきちんとやれるようになってきた」と、選手たちの成長を評価していた。
三好は県立校だが1学年120人というスポーツ科学科があり、運動部活動も盛んで陸上部やラグビー部などなどは、県大会でも上位に進出するなど実績を挙げている。そういう意味では、野球部もそうした他部から刺激を受けていきながら、今後の躍進はかなり期待できそうな、そんな雰囲気も感じさせてくれたこの日の戦いぶりだった。
(取材=手束 仁)