仙台三vs柴田農林
昨夏準Vの仙台三がコールド発進!柴田農林は3学年がそろう最後の夏を終える
<第104回全国高校野球選手権宮城大会:仙台三13-0柴田農林>◇9日◇1回戦◇仙台市民
昨夏準優勝、今春ベスト4と勢いに乗る”公立の雄”仙台三が登場。2年ぶりの単独出場となった柴田農林が、強敵に立ち向かった。
仙台三は初回から打線が爆発する。ダブルスチールを成功させるなど機動力を武器に1死満塁の好機をつくると、5番の主将・藤原 楽(3年)が犠飛を放ち1点を先制。6番・千葉 柊弥(3年)、8番・椎名 伯斗(3年)には2点適時二塁打が飛び出し、この回5点を奪った。
その後も雨が強まる中、計11盗塁と走りまくり効率よく得点を重ねた仙台三。8点リードの5回にはここまで安打の出ていなかった3番・菅原 啓介(3年)、4番・加藤 光志郎(2年)に適時打が飛び出すなどし、5回コールド勝ちを決定づけた。
投げては、先発した背番号10の椎名が3回無失点。佐藤 友思(3年)、朝倉 光優(3年)とつなぎ、エース丸山 侑太(3年)を温存して1回戦を突破した。
柴田農林は大敗を喫したが、ナインにとっては特別な夏となった。昨夏は連合チームで戦い、この春も亘理・伊具・大河原商と4校連合を組んだ。柴田農林は来春、大河原商と再編統合され、今年の1年生が卒業すると同時に閉校を迎える。3学年がそろう最後の夏、1年生が多数入部したことで、単独出場が実現したのだ。
スタメン9人のうち7人が1年生というラインナップの中、唯一の3年生で主将の佐々木 優斗が、「4番・投手」で先発のマウンドに上がった。初回の途中で降板するも、遊撃の守備位置から声を出し後輩たちを鼓舞。打撃面でも相手の失策を誘う強烈なゴロを放つなど、最後まで全力プレーを貫いた。
4回、2番手の大坪 洸毅(1年)が好投を披露する。2死一、二塁と得点圏に走者を背負うも、続く打者にはコースいっぱいに渾身の一球を投じ見逃し三振。この日スコアボードに刻んだ唯一の「0」を称えるように、降り続けていた雨がやんだ。
5回には2年生の渡邉 滉也が意地の左前打。白星をつかむことはできなかったが、3学年が力を合わせ「柴田農林」の歴史を紡いだ。
(取材=川浪 康太郎)