創価vs都立日野

＜第104回全国高校野球選手権西東京大会：創価6−3都立日野＞◇10日◇2回戦◇[stadium]スリーボンドスタジアム八王子[/stadium]

　いよいよ西東京大会も開幕した。その初日の第1試合は、創価と都立日野という好カードになった。しかも灼熱の夏の太陽が、選手たちに容赦なく照りつける。そのため試合は、両チームが死力を尽くした戦いになった。

　創価は杉江 敏希、都立日野は松本 蓮というエースが先発。両投手とも硬さがあり、そこを逃さない。1回表、都立日野は2死三塁から主砲の4番・廣岡 太平が中越えの二塁打を放ち先制すれば、その裏創価は、1死一塁から3番・小川 蓮翔が左中間を破る三塁打を放ち同点に追いつくと、4番・室田 大和が左前安打を放ち逆転した。

　3回表、都立日野は1番・町田 雄飛が二塁打を放ったが、2番・我妻 銀のバントを創価の杉江が素早く動き、町田は三塁前でアウト。一塁に残った我妻は3番・森 誠恩の中前安打に失策が重なり生還し同点に追いつく。それでも杉江は、2回表も内野安打になりそうな難しいバントをうまく処理して一塁で刺している。杉江は1年の秋季大会でミスをしたことをきっかけに練習を重ね、「フィールディングには自信があります」という。こうした地道なアウト1つ1つが後半効いてくる。

　創価は4回裏2死二塁から8番・藤井 叶の中前安打で勝ち越す。それでもこの回、都立日野の二塁手・我妻の好プレーもあり、1点で抑えたという展開であった。

　太陽はどんどん高くなり、暑さはますます厳しくなる。創価の杉江は、4回ごろから足がつり始めたことを感じていたという。それでも気力の方が上回り、あまり感じなくなっていた。

　5回表、都立日野は安打2本と敵失で1死満塁のチャンスをつかむと、4番・廣岡は四球で押し出し。同点に追いつく。しかしその後、あと1本が出ず、この回1点止まりだったことも後になって響く。都立日野は7回表2死三塁から5番・上野 雄哉の中前安打で勝ち越しに成功する。しかし試合は、ここから波乱の展開になる。

　8回裏、創価は、この回先頭の2番・羽村 伊夏がライトに二塁打を放つと、都立日野の中堅手で攻撃の柱でもある中堅手の廣岡が足をつって倒れ、試合が中断となる。10分を超える中断の後、廣岡は守備位置に戻るが本来の状態ではない。2死三塁となったところで、創価は主砲の5番・小原 快斗を迎える。「初戦なので、浮足だっていました。1人1人が集中して行こうと」と思い打席に立った小原は、直球を叩くと打球はセンターに飛ぶ。普通の状態でも難しい当たりではあったが、廣岡の走り方は明らかにおかしい。結局センターオーバーの三塁打になり創価は同点に追いつく。さらに代打狩野の左前安打で勝ち越し。8番・藤井の右前安打で1点を追加して試合を決めた。

　9回表にマウンドに立つ創価の杉江は、足のつりを気にする動作を何度かしたものの、三者凡退に抑え、熱い戦いに終止符を打った。

　試合後都立日野の嶋田雅之監督は、負けたことには「残念です」と語ったものの、「お互いに死力を尽くしてやりました」と、両チームの選手を称えた。都立日野は、秋は1次予選の初戦で國學院久我山に敗れ、夏も初戦で創価に敗れたため、公式戦の試合数は少なかった。けれども、投打に力があり、もう少し戦いぶりをみたかった好チームだった。

　一方勝った創価の片桐哲郎監督は、「初戦は簡単ではありません。こういう苦しい試合を物にしたのは自信になります」と語る。ノーシードでも、創価は力があると、印象付けた試合だった。

（取材＝大島 裕史）