亜細亜大vs近畿大
9回まで0-0。亜細亜大が近畿大との激闘を制して初戦突破
9回表に代打で先制の2点適時二塁打を放った松浦隆己(亜細亜大)
<第71回全日本大学野球選手権:亜細亜大2−1近畿大>◇8日◇2回戦◇[stadium]東京ドーム[/stadium]
東都を勝ち点5で制した亜細亜大と関西学生王者の近畿大。東西の名門対決は最後まで白熱した好ゲームとなった。
亜細亜大の先発は今秋ドラフト候補の青山美夏人投手(4年=横浜隼人)。140キロ中盤を記録するストレートに変化球の精度も冴え、前評判に違わぬ投球を見せる。近畿大先発の久保玲司投手(4年=関大北陽)もストレートとチェンジアップのコンビネーションで相手を翻弄し、8回まで亜細亜大打線を2安打に抑え込む。
ハイレベルな投手戦が繰り広げられてきたが、8回裏から試合が目まぐるしく動く。8回裏の近大は一死から7番・竹谷理央外野手(4年=星稜)、8番・米崎薫暉内野手(1年=明徳義塾)の連打で一、二塁のチャンスを作る。続く9番・大杉渉太捕手(4年=東山)は犠打を敢行。処理した青山は三塁に送球するが、竹谷の代走で出ていた金子勝星内野手(3年=創志学園)の足が速く、野選となり、一死満塁とチャンスが広がった。
「あそこが限界だった」と生田勉監督は7回から疲れが見え始めていたという青山に代えて、左の松本晴投手(4年=樟南)をマウンドに送る。さらに二塁手の西脇大晴(4年=愛工大名電)が足を攣る様子が見られたため、二塁手を山本秀太(4年=京都翔英)に交代した。
ここで打席に立つのは1番の梶田蓮外野手(4年=三重)。俊足巧打の選手で、併殺の可能性が少ない打者だと思われていた。ところが1ボールから捉えた打球は代わったばかりのセカンド正面。4-6-3の併殺で、亜細亜大がピンチを乗り切った。
ピンチの後にはチャンスあり。9回表の亜細亜大は先頭の1番・藤江亮太内野手(4年=享栄)が四球で出塁すると、2番・田中幹也内野手(4年=東海大菅生)が犠打を決めて、得点圏に走者を進める。その後、四球と右飛で二死一、二塁となり、ここで生田監督は、「凄く明るい子。こういう子がここ一番でいい仕事をしてくれるんじゃないか」という期待を込めて松浦隆己外野手(3年=神戸国際大附)を代打に送る。
最後のアウトを取り、喜ぶ田中大成(亜細亜大)
「監督さんに打席に入る前に『思い切っていけ』と言われたので、その言葉を信じて初球からいこうと思いました」という松浦はその言葉通り、初球のスライダーを振り抜き、レフトオーバーの2点適時二塁打となった。
「明るい子を使ったら運が来ました」とご満悦の生田監督。一方の久保は、「僕が打たれるときはいつも球が高い。後悔しました」とうなだれた。
だが、近畿大もただでは終わらない。先頭の2番・坂下翔馬内野手(3年=智辯学園)が内野安打で出塁すると、3番・谷口嘉紀外野手(4年=神戸国際大附)、代打の東原成悟内野手(3年=福知山成美)も続き、無死満塁とする。5番・榎木貫太内野手(3年=大阪桐蔭)は二塁ゴロに倒れたが、当たりが弱かったため一塁しか送球できず、1点を返してなおも一死二、三塁と一打逆転サヨナラの状況を作った。
ここで6番・筒井太成内野手(4年=履正社)は逆方向に強い打球を放つが、遊撃手・田中幹がワンバウンドで上手く処理。「捕って三塁ランナーを見た時に走っていなくて、二塁ランナーが右目でチラっと見えたので、そっちを殺そうと思いました」と挟殺で二塁走者をアウトにして、二死一、三塁と状況を好転させた。
それでも長打が出れば逆転サヨナラの場面で近畿大は代打に右の柴野琉生外野手(3年=神戸国際大附)を起用。それに対して亜細亜大も右の田中大成投手(4年=八幡浜)を送り、勝負に出る。東京ドーム全体にも緊迫した空気が流れる中、1ストライクから柴野が放った打球は三塁ゴロ。二塁フォースアウトとなり、亜細亜大が大熱戦をものにした。
「厳しい戦いで勝てたというのはチームとしても自信を付けられると思うので、次につなげていきたいと思います」と話した主将の田中幹。初戦から苦しい試合となったが、次戦に向けて勢いがつく勝ちとなったことだろう。勝負所で東都王者の底力が見られた好ゲームだった。
(取材:馬場 遼)
亜細亜大
1番(一)藤江 亮太(4年=享栄)
2番(遊)田中 幹也(4年=東海大菅生)
3番(中)天井 一輝(3年=広島商)
4番(指)山下 滉介(4年=岡山理大附)
5番(二)西脇 大晴(4年=愛工大名電)
6番(三)大越 弘太郎(4年=健大高崎)
7番(左)重松 凱人(4年=戸畑)
8番(捕)草部 真秀(4年=常総学院)
9番(右)右田 稜真(3年=二松学舎大附)
(投)青山 美夏人(4年=横浜隼人)
近畿大
1番(中)梶田 蓮(4年=三重)
2番(遊)坂下 翔馬(3年=智辯学園)
3番(右)谷口 嘉紀(4年=神戸国際大附)
4番(指)松井 健士(3年=三重)
5番(二)榎木 貫太(3年=大阪桐蔭)
6番(一)筒井 太成(4年=履正社)
7番(左)竹谷 理央(4年=星稜)
8番(三)米崎 薫暉(1年=明徳義塾)
9番(捕)大杉 渉太(4年=東山)
(投)久保 玲司(4年=関大北陽)