試合レポート

山村学園vs市立川越

2022.05.05

山村学園が昨秋のリベンジ川越対決をコールドで制し関東へ!

山村学園vs市立川越 | 高校野球ドットコム
山村学園の得点シーン

<春季高校野球埼玉大会:山村学園9-1市立川越>◇3日◇準決勝◇[stadium]県営大宮[/stadium]

 県営大宮球場の第二試合は山村学園市立川越という「川越対決」である。この両校は昨秋も対戦し、その時は市立川越が7対3で勝利しているが今回はどうか。

 まずはスタメンだが、山村学園は前回の花咲徳栄戦と全く同じオーダー、一方の市立川越は、筆者が見るのは聖望学園戦以来だが、その時とは4番・鈴木 善(2年)、8番・田島 翔大(2年)と入れ替わっている。

 先発は、山村学園は前に試合に続き右サイドの山田 翼(3年)、一方の市立川越は昨秋同様に左腕の関 盛宏(3年)と両エースが先発し試合が始まる。

 先制したのは、山村学園であった。

 2回裏、この回先頭の酒井 大輝(3年)がセンター前ヒットを放つと外野の守備位置を見て一気に二塁を奪う好走塁を見せる。続く高野 壮瑠(2年)がきっちりと送り一死三塁とすると、二死後7番・塙がレフト前タイムリーを放ち、幸先良く1点を先制する。

 だが、市立川越も3回表、この回先頭の西村がセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く畠山はバントの構えをする。だが、
「一回バントを失敗した時にサードとセンターとライトが前に来ているのが見えたので」(畠山)
と、バスターでセンター越えタイムリー二塁打を放ちすぐに同点に追いつく。だがその後の無死二塁のチャンスで犠打を失敗すると後続も凡退し同点でこの回の攻撃を終える。



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市立川越の得点シーン

 すると4回裏、山村学園はこの回先頭の酒井がショートゴロエラーで出塁すると、続く高野がきっちりと送り一死二塁とする。二死後、7番・塙光 悟(3年)がライト線へタイムリー二塁打を放ち2対1とする。

 山村学園は5回裏、一死後1番・井上 翔汰(3年)がセーフティバントを決めると、続く河村 優雅(3年)も四球を選び一死一、二塁とし、主砲・坪井 蒼汰(3年)を迎える。坪井は期待に応え左中間へ2点タイムリー二塁打を放ち3点差をつける。

 ここでたまらず、市立川越は継投に入り2番手・藤井 七生(3年)をマウンドへ送るが、導火線に火がついた山村学園打線は止まらない。

 4番・酒井がサード強襲のタイムリーを放つと、続く高野がきっちりと送り二死二塁とする。ここで6番・山田 浩太(3年)がライト線へタイムリー二塁打を放つと、続く塙もレフト前タイムリーを放つ。さらに8番・山田 翼もレフト線へのタイムリー二塁打を放つなど、山村学園は結局この回一挙6得点を奪うビックイニングとし7点差をつけ試合の大勢は決した。

 ここは結果論であり考え方は分かれるかも知れないが、筆者はこの試合継投タイミングが勝敗を分けると思って見ていた。坪井の所で藤井君へスイッチするのも一つの選択肢であった印象を受ける。

 山村学園は6回裏にも、先頭・井上のレフト前ヒットを足がかりとし、3番・坪井がきっちりと犠飛を放ち9対1とすると、投げてはエース山田 翼がこの日も7回5安打1失点に抑える好投を披露する。

 結局、勢いに乗った山村学園が7回コールド9対1で市立川越を破り関東大会への進出を決めた。


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山村学園・山田翼

 まずは、市立川越だが、この日は継投タイミングの一瞬の遅れが命取りとなった。
「今日は相手の気迫が凄かった。挑戦者の気持ちを作ろうと再戦が決まってからやってきたんですが、どうしても受けに回ってしまった。守備の綻びが出た。守備からリズムが作れるように。夏までに走塁を見直しながらリベンジできるように」(室井監督)

と、悔しさを滲ませつつもどこか満足気な部分も覗かせた。それもそのはず、このチームは元々、新チーム結成当初は”捨ての代”と言われ、そこから這い上がってきたチームだ。初戦でBシード・聖望学園に競り勝ち、2日間に渡る激闘の末、MAX145km右腕・石橋擁する武南に勝利するなど、ここまでの勝ち上がりは見事であった。今日はお客の入り具合も影響したのか、特に守備面でどこか浮ついてしまった。夏は受けに回らないよう、3年生を中心とし、この日の反省を生かしてほしい。

 一方の山村学園市立川越への昨秋のリベンジ成功となった。

「とにかく低い打球を打とうと。全国ベスト4の相手と戦ってみて肌で感じることができれば。夏に繋げる試合にしたい。もちろん、最初から負ける気ではいませんが」
と、岡野監督は不敵な笑みを浮かべる。今大会の山村学園川越東戦に勝利後から勢いに乗っている。次の相手は浦和学院だが、この5日間で4試合に登板した山田 翼
「ヘトヘトです。序盤球が浮いていて、直球も走っていなかったんですが、後半球が行き出した」
と、さすがに疲労困憊であろう。先発は昨夏の経験もある左腕・佐藤 実倫が濃厚か。打線は復調気配だが、投手陣がどこまで強打の浦和学院打線を抑えることができるかが鍵となるであろう。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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