試合レポート

武南vs熊谷商

2022.04.27

武南が初回一挙5得点。好投手対決はMAX145km右腕・石橋に軍配!

武南vs熊谷商 | 高校野球ドットコム
石橋 凪仁

<春季高校野球埼玉県大会:武南7-0熊谷商>◇26日◇2回戦◇大宮公園

 まさかこんな展開になるとは。これだから野球は怖い。

 雨が降り始め、風も舞い始めた[stadium]県営大宮球場[/stadium]の第2試合は最速145キロ右腕・石橋 凪仁(3年)を擁する武南と同じく好投手を複数擁する熊谷商との一戦だ。

 熊谷商は、昨秋からかなりメンバーが入れ替わっている。3番に新井 直樹(3年)が入り、昨秋3番の白木澤 星凪(2年)が4番に入る。5番には篠田 寛太(2年)が入り、昨秋4番の中島 聖道(3年)が6番に、7番には内田 蓮太郎(2年)が、8番には中嶋 悠斗(2年)が入る。

 武南も昨秋から多少の変更がある。6番には前田 凌大(3年)が、7番には五味 優真(3年)が入り、秋7番の中谷 翼(3年)が8番へ下がる。

 先発は武南は前述プロ注目の石橋、一方の熊谷商は、前の試合に続きエース金井 颯太(3年)が登板し試合が始まる。金井も最速140キロの投手であり、投手戦になるかと思われたが、試合は意外な展開となる。

 初回が全てであった。

 1回裏、武南熊谷商・金井の立ち上がりを攻め立てる。先頭の大竹 莉功(2年)が中前安打を放ち出塁すると、続く曽根 稜介(2年)がきっちりと送り1死二塁とする。ここで3番・越沼 大喜(3年)が右前へ適時打を放つと、続く石橋のところで、一走・越沼はすかさず二盗を試みる。これが相手の悪送球を呼び1死三塁とすると、石橋が右翼へ適時二塁打を放つ。5番・稲村 航大(3年)も右前へポトリと落ちる安打を放ち1死一、三塁とすると、続く前田の二塁ゴロが二塁手の横を抜けあっという間に3点を奪う。さらに1死一、二塁から7番・五味、8番・仲谷(翼)が連続死球を選び押し出しで4点目を奪うと、続く齋藤 幸之介(3年)がスクイズを決め5点を奪う。

 結局、武南が打者一巡の猛攻で一挙5点を奪い試合の流れを完全に掌握した。何より武南にはエース石橋の存在があるだけに、この5点は大きい。

 武南は、2回裏にも1死から3番・越沼が四球を選び出塁すると、続く石橋も二塁手後方へポトリと落ちるヒットを放ち1死一、二塁とする。ここで5番・稲村が左前へ適時打を放ち6点差とする。

 熊谷商も3回表に反撃を開始する。この回先頭の内田が右前安打を放ち出塁すると、続く中嶋(悠)の二塁ゴロを二塁手がトンネルして無死一、二塁と絶好の反撃機を得る。9番・西村もきっちりと送り1死二、三塁とチャンスを広げる。

 だがここで、武南・石橋のギアが上がる。
「この展開なので投げる予定はなかったんですが」(石橋)
と、縦の変化球を解禁すると、1番・吉村、2番・長谷川(大)から連続三振を奪い得点を許さない。

 これで勝負あった。武南・石橋は4回以降もスイスイと投げ、その後も熊谷商打線を無失点に抑えると、打線も7回裏、熊谷商の2番手・石川 涼太(3年)を攻め、この回先頭の五味が中前安打を放ち出塁すると、続く仲谷(翼)がきっちりと送り1死二塁とする。さらに9番・齋藤が一塁への内野安打を放ち1死一、三塁とチャンスを広げると、最後は代打・賀川 勇輝(3年)が左前適時打でダメを押した。

 結局7回コールド7対0で武南熊谷商に勝利し夏のシード権をつかんだ。



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 熊谷商はこの日はやや、はまったような内容であった。
「初回が全て。エラーも出て。終盤勝負というイメージだったんですが」(新井監督)
 と、想定外の展開であったが両校にそこまでの差は感じない。だが、エース金井は立ち上がりやや球が高く、打球も風の影響でややアンラッキーな打球が続いた。いずれにせよこれで、熊谷商は夏ノーシードとなるが、投手陣は枚数が揃っており、打線も悪くはない。ただ、昨秋は浦和麗明・吉川、この日の武南・石橋と今年の埼玉で上位の2投手にやられた形なので、そこまで悲観する状況ではない。本来熊谷商と言えば打のチーム。若いチームであるだけに夏の巻き返しに期待したい。

 武南は初回の攻撃は見事だった。何よりアベレージで140キロを投げる石橋の存在が大きい。制球力もあり直球にこだわらず、この日はどちらかと言えば打たせて取る投球を披露し、省エネ投法で76球、奪三振7、被安打3の無失点で終えた。
「今日は真っ直ぐが走っていなかったのでテンポ良く球数も意識して四隅に投げた。冬場にトレーニングランで強化して体重は5キロぐらい増えて球速も上がった。プロの世界にも行きたい」
 と言う石橋を擁する武南の次の相手は聖望学園を下し勢いに乗る市立川越が相手だ。簡単には行かないだろうが、昨秋の地区予選、浦和実戦で0-1で敗戦した悔しさをバネに、どこまで勝ち上がるか楽しみな存在だ。

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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