日大三vs日大鶴ヶ丘
打ち合いで始まった日大対決 リリーフ登板の日大三・安田の力投が勝利を呼び込む
日大三 安田虎汰郎
<春季東京都高校野球大会:日大三11-4日大鶴ヶ丘>◇10日◇4回戦◇スリーボンドスタジアム八王子
試合終了後、日大鶴ヶ丘の萩生田博美監督は、「きつかったです」と語った。この大会が始まった4月1日は冬の寒さに戻り、寒さに震えながら野球をしていたのが、わずか10日足らずで夏の暑さになった。その間、シード校の日大三は3試合、ノーシードの日大鶴ヶ丘は4試合を戦うのだから、かなりハードだ。そのうえ、日大三・日大鶴ヶ丘という日大対決はもつれることが多い。実際この試合も序盤は打撃戦で、暑さの中で、体力を消耗する試合になった。
試合は、日大三は左腕の松藤孝介、日大鶴ヶ丘は横手投げの比江島幹の先発で始まった。
1回表日大鶴ヶ丘は3番・高見澤晴翔の内野安打で1点を先制すると、高見澤も5番・番場大翔の二塁打で生還する。日大鶴ヶ丘は2回表にも1番・森安陽琉の二塁打などで、1点を追加する。「秋までは逆方向にしか打っていませんでしたが、冬の間、引っ張って大きな打球を打つように練習して来ました」と、森安は言う。
日大三も2回裏に1死一、二塁から主将で8番の寒川忠の二塁打で1点を返し、9番・松藤の右犠飛でさらに1点を返した。
3回表日大鶴ヶ丘が1死満塁のチャンスになったところで、日大三は、松藤に代えて安田虎汰郎がマウンドへ。7番・鈴木歩夢に右犠飛を打たれ、1点を失ったものの、安田はここから安定した投球を見せ日大鶴ヶ丘に得点を与えない。安田の好投で試合の流れは、日大三の方に流れ始める。
3回裏日大三は3番・富塚隼介、5番・金澤海斗の二塁打などで2点を挙げて同点に追いつく。4回裏には右前安打の寒川が、犠打やワイルドピッチで三塁に進み、2番・藤巻一洸の中犠飛で勝ち越す。
日大三は6回裏にも1番・大川智矢の三塁打などで2点を追加。8回裏も3番・富塚の二塁打などで2点を挙げ、なおも続く2死一、二塁のチャンスで7番・川崎広翔の右中間を破る二塁打で2人が還り、この回4点。11対4となり8回コールドが成立した。
日大鶴ヶ丘は敗れたとはいえ、秋は1回戦でコールド負けしているだけに、春は4回戦に進み、夏のシード校になったのだから、冬場の練習の成果を感じさせる春の戦いであった。萩生田監督は、「投手陣の軸を育てることと下位打線の厚みが課題です」と、語った。例年、春から夏にかけてチーム力を上げてくるだけに、夏の戦いが楽しみだ。
勝った日大三の小倉全由監督は、「安田がよく投げてくれました」と、語った。今大会エースの矢後和也は登板させない方針。夏は当然、矢後中心の投手起用になるが、矢後1人に負担をかけるわけにはいかないので、安田やこの試合で先発した松藤らへの期待も大きい。準々決勝は、秋はサヨナラ勝ちをしている東海大菅生との対戦になる。西東京の実力校同士の対戦だけに、夏に向けての駆け引きとともに、注目される一戦になる。
(取材=大島 裕史)