法政大高vs日本ウェルネス
15安打の猛攻で2回戦進出 法政大高、期待膨らむ大型スラッガー・豊田明平が4打点の大暴れ
法政大高4番・豊田明平
<春季東京都高校野球大会:法政大高6-2日本ウェルネス>◇2日◇1回戦◇府中市民
法政大高は9回で15安打と強打で日本ウェルネスを圧倒。中盤に攻撃で主導権を握って、2回戦に勝ち進んだ。
試合は3回に法政大高が先制点を奪って1対0で迎えた5回、無死一、三塁から3番・本宮拓朗外野手(3年)が二塁打を放ち追加点を記録すると、続く4番・豊田明平内野手(3年)が片手で捉えた打球はレフトフェンス手前まで飛ばす犠牲フライ。この回、2点目を記録して3対0と突き放した。
続く6回にも点数を奪うと、8回には2死二塁から4番・豊田が左翼線を破る二塁打で6対0と勝負を決めた。
最終回に日本ウェルネスに2点を返されたものの、6対2で勝利した法政大高。強打が目立ったなかでも主砲・豊田は風格が違った。
がっちりとした下半身が目立つ豊田は、177センチ、86キロと体つきがしっかりしている。
バットを寝かせた状態でトップを作り、軸回転で振り出していく。本人も意識しているというレベルスイングで球を捉えると、持ち前のパワーを使ったパンチ力で打球を飛ばす。5回に放った犠牲フライが、片手になりながらもレフトフェンス手前まで運んだことを見れば、納得いくところだ。
177センチ、86キロの体格を生かして凄まじいパワーを見せた豊田は、この試合4打数2安打4打点と4番にふさわしい活躍ぶりだった。「今日は球がしっかりと見えており、積極的にバットを振りにいけたことが、結果に繋がった」とこの結果を淡々と振り返った。
法政大高では、冬場にトレーニングを重点的に行い、筋力強化をしてきた。豊田も4キロの増量に成功し、片手でフェンス手前まで飛ばせた理由も納得できた。
シーズンに入ってまもなく、「バットが素直に出せなかった」ということで、差し込まれてしまうことが多く、練習の成果は発揮できなかった。
そのときに豊田を救ったのが、普段から佐相監督が指導してきたシンプルな打撃だった。
「甲子園の試合を見たり、強豪校と試合をすると、シンプルなスイングをする選手が多かった」ということに気づいたことで、自チームの選手にも指導を徹底した。
豊田に対しても、同様にシンプルなフォームを改めて指導し、取り入れたことで、バットが素直に出るようになり、調子が上向きになり、この試合では4打点をマーク。この結果は、法政大高がチームで取り組んできたことの成果といっていいだろう。
豊田以外にも、ヘッドを生かしたバッティングに加えて、先発として試合を作った主将・福井永世内野手(3年)や、レベルスイングで捉える幅の広さを感じさせた3番・本宮、そして捕手として、二塁送球最速1.85秒を計測する強肩が光った高橋飛成(3年)と逸材が揃う。
2回戦はシード校・都立日野台との対戦となるが、どんな試合を見せるか楽しみだ。
[page_break:指揮官も認めるキャプテン 日本ウェルネス主将・谷口サトルは夏の大暴れ誓う]指揮官も認めるキャプテン 日本ウェルネス主将・谷口サトルは夏の大暴れ誓う
日本ウェルネス4番・谷口サトル
法政大高の前に力が及ばなかった日本ウェルネス。主将・谷口サトル外野手(3年)は「初回からバットを振りに行けませんでしたし、ビハインドになったことで受け身になってしまった」と敗戦を振り返った。
しかし、ベンチも含めて各選手の声がグラウンドに響き、雰囲気は良かった。その点については「変わってきましたが、まだ足りません」と納得はしていない模様だった。
自身の結果についても同様だ。
4番に起用されたものの、ノーヒットに終わり、物足りない内容。冬場には1.5キロする極太バットを使った連続ティーでリストが強化され、「手前にあったポイントを引き付けても、打てるようになってきた」と確かな手ごたえはあった。それだけに悔しい結果だからこそ、「もう夏は負けたくないので、4番として夏に向けて振りまくりたいです」と夏に向けてひたむきに練習を重ねていくことを誓った。
その谷口主将について、「キャプテンらしい選手ですし、良い選手です」と磯口監督は賞賛するが、その他にも今年の選手たちは「野球に取り組む姿勢がいい選手が揃っていますので、あとは実力を信じられるかどうかです」と分析している。それだけに敗れたものの、最終回に代打を起用しながら2点を記録したことは、「夏に繋がると思います」と敗戦を前向きにとらえていた。
夏までにどれだけ力を蓄えられるか。日本ウェルネスの今後の成長を楽しみにしたい。
(取材=田中 裕毅)