早大学院vs都立江戸川
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都立江戸川 エース竹川12回完投もサヨナラボーク終止符。早大学院が初戦突破
涙を浮かべながらスタンドに一礼する竹川 葉流(都立江戸川)
2日、多摩市一本杉公園野球場の第二試合、都立江戸川と早大学院との一戦は劇的な幕切れとなった。
都立江戸川の先発はエース・竹川 葉流。早大学院の木田 茂監督は「噂通り好投手でした。カットボールと直球の組み合わせが良かった。直球は130キロ前後だ思うのですが、回転数があって手元で伸びているようでした。マシンでは練習できない球です」と早大学院打線は竹川攻略に苦戦した。
先制したのは都立江戸川だった。3回表、二死二、三塁の好機にパスボールで先制。しかし早大学院は4回裏に6番・原 蒼波の適時打で同点に追いつき、6回には5番・松崎 悠真のセーフティースクイズで勝ち越しに成功した。
竹川は「調子は良かったと思います」と力強い直球を投げ込み、接戦の中、最後のアウトは三振を狙った。「自分の投球で流れを変えることができたら」。打ち取った際には思わず声が出た。「どちらかといえば淡々と投げるスタイルですが、この試合は気合が入って感情を表に出して投球することができました」。抑えていくうちに自信がみなぎり、一皮むけた試合だった。10三振を奪う快投を披露した。
都立江戸川は1点ビハインドで迎えた8回、ここまで好投の竹川に適時三塁打が生まれ同点に追いついた。そして試合は延長戦に突入。10回、11回は三者凡退に抑えるも打線はあと1点が遠かった。
12回も無得点で迎えた12回裏、一死一、二塁のピンチを背負った。打席には早大学院3番・佐藤 寛也が入り、1球目に暴投で両走者に進塁を許した。その直後、三走がスタートをきり、打者はバントの構えに切り替えた。早大学院ベンチは『フェイク』のサインを出していた。「(三走の動きが見え)6回のセーフティースクイズがよぎり、怖さで投げることができませんでした」。投球動作に入ったものの、ボールが手から離れなかった。ボークとなり走者が進塁。三走がゆっくり本塁を踏み試合が終わった。早大学院が3対2で延長12回を制し初戦突破を決めた。
試合後は、涙が溢れた。それでも12回を投げ抜いた竹川に対して都立江戸川の園山 蔵人監督は「いつも以上に気合が入っていてエースらしく堂々と投げてくれました」と労いの言葉を送った。竹川は「今は130キロくらいなので冬は140キロまで球速を上げたい」と試合後の取材では涙はなく、次の目標に向け前を向いていた。
(記事=藤木拓弥)
力投する竹川 葉流(都立江戸川)
8回表、同点の適時三塁打を放った竹川 葉流(都立江戸川)
劇的な幕切れで延長戦を制した早大学院