二松学舎大附vs都立王子総合
二松学舎大附、新エース・布施 8回奪三振9、失点1の投球で8回コールド発進
二松学舎大附・布施東海
二松学舎大附が甲子園で京都国際に敗れたのが8月24日。翌日東京に戻りすぐに新チームに取り掛かったが、東京でも雨が続き、思うようにできないまま、秋季大会を迎えた。
新チームの主将は、秋山正雲からエースを引き継いだ布施東海だ。市原勝人監督は、「いずれは代えてやる、と言ってあります」とことわったうえで、「親富祖(凪人)や瀬谷(大夢)は野手なので、怒られることが多かった。布施は怒られることが少ないし、勉強もできますから」と、臨時の立場ではあるものの、主将にした理由を語る。
対する都立王子総合は、都立の中では力のあるチーム。最初から継投することを前提に1年生の原崎煌也を先発に起用した。
1回裏、二松学舎大附は2四死球などで一死一、三塁とし、4番・瀬谷の左犠飛で1点を入れる。さらに2回裏は、1年生の大矢青葉が新チーム結成以来、チームとしての初本塁打を放ち1点を追加する。
しかし打線爆発とはいかず、少ない点数に抑えられる。「(二松学舎大附が)打ち損じてくれました。ピッチャーには、1イニングに1点に抑えろ、と言っています」と、語る王子総合の市川幸一監督にとっては、想定通りの展開になった。
それでも二松学舎大附先発の布施は、市原監督が「ストレートは秋山ほどではないですが、変化球でストライクが取れますから」と評価しているだけあり、安定した投球。王子総合の主将で4番の太田幸樹は、「速い球を打つ練習はしていましたが、変化球にキレがあって、てこずりました」と語る。
実際に布施は緩急自在の投球。夏までのエース・秋山について布施は、「理想のエース像。ピンチの時のギアの入れ方はすごいです」と語る。それでも布施はこの試合、6回までは被安打2,奪三振8の無失点。リードは2点しかないが、全く危なげない投球を続ける。
王子総合の原崎も3、4、5回は無失点に抑える好投をしていたが、6回裏は、二死三塁から、二松学舎大附の6番・小林幸男に中前安打を打たれ1点を失う。さらに守備の乱れもあり、二松学舎大附はこの回、2点を入れる。
ようやく二松学舎大附のペースになりかけたが、7回表王子総合の3番・藤森直之が遊失で出塁すると、4番の太田幸樹が左中間を破る二塁打を放ち、王子総合が1点を返した。「ランナーを絶対還さないと、と思って打席に立ちました。打ったのは真っ直ぐです。自信になります」と語る。
1点は返したものの、王子総合の市川監督は、「一番心配していたのは守備でした」と語る。7回裏、この回先頭の9番・布施が二塁打で出塁すると、三失などで生還する。
なおも一死二、三塁のピンチが続いたところで王子総合は背番号1の大西蓮太朗を投入したが、4番・瀬谷に中前安打を打たれ二松学舎大附はさらに2点を追加する。8回裏も四球で出た走者が、内野手の悪送球で還り1点を追加し、8対1のコールドゲームが成立した。
王子総合は中盤までは善戦したものの、最後は市川監督が懸念していた守備の乱れで崩れた。逆に言えば、強化ポイントははっきりしている。
二松学舎大附の布施は、8回を被安打3,奪三振9、四死球0,失点1の安定した投球。それでも布施は、「まだまだです。野手がエラーした後、抑えないと。それに、狙ったところに行っていません」と語る。二松学舎大附はこれから新チームを形作っていくところだ。秋季大会の中でも、どのように進化していくのか、注目したい。
(記事=大島 裕史)