國學院久我山vs都立日野
國學院久我山 コツコツつないで都立日野を7回コールドで破る
國學院久我山5番・下川邊隼人
この夏の西東京大会で準優勝した國學院久我山にしても、初戦の都立日野は手ごわい相手だ。「都立で力のある日野ですから、先取点をどちらが取るかだと思っていました」と、尾崎直輝監督は語る。
小雨が降る中で始まった試合は、都立日野の先発・蓑田裕吾、國學院久我山の先発・成田陸とも、初回は走者を出しながらも無失点に抑える。
しかし2回表、日野の蓑田が先頭の2人を続けて四球で歩かせたところで、國學院久我山は夏の大会でも威力を発揮したバント攻勢で試合を一気に決める。まず8番・佐野大和の犠打に続き、9番・吉川侑杜のバントは、投手のエラーを誘いまず1点。雨でややぬかるんだグラウンドで、日野はバント処理にてこずる。
1番・齋藤誠賢の中前安打で1点追加。2番・木津寿哉に死球、3番・上田太陽の三ゴロで、併殺狙いが失策となり2点を追加するなど、この回一挙6点を入れた。
その裏、國學院久我山の先発・成田もやや乱れ、日野は2つの四球と内野安打などで二死満塁とし、1番・町田雄飛の中前安打で2人が生還し追い上げをみせるかにみえた。しかし3回以降は、もともと捕手であったという國學院久我山の先発・成田の馬力のある投球に日野打線は打ちあぐむ。
國學院久我山のバント攻撃は、夏のチームほどの精度はまだなく、失敗もある。それでも、4回表は9番・吉川の二塁打などで1点。5回表は二死になってから5番・下川邊隼人が左前安打の後、二盗して、6番・橋本大豊の左前安打で1点。
6回表も安打2本などで1点と、1点ずつコツコツ加点して相手を苦しめる、國學院久我山らしい攻めで加点して、9対2。7回コールドで國學院久我山が、圧勝した。
國學院久我山の力が上回っていたのは確かだが、コールドになるほどの差はなかったと思う。日野の嶋田雅之監督は、「自滅です。気持ちが弱い」と語った。コロナで練習が制限されているのは、どのチームも同じだが、都立校は特に厳しく制限されていることが多い。
筋トレなども「密」にならないように配慮しなければならず、「ベースになる体力が弱すぎます」と、嶋田監督は語る。今の2年生は入学した時からコロナによる特別な状況で、普通の状況を知らない。コロナ禍は、そう簡単に治まりそうもないので、今後も苦労が続くと思うが、春以降の成長を期待したい。
國學院久我山は、2年前の夏の優勝、この夏の準優勝を通して、しっかりとチームの形ができつつあるように思う。齋藤、上田、下川邊、木津ら夏のメンバーを中心にしつつも、尾崎監督が語る「全員野球」で、さらなる戦いに挑む。
(記事=大島 裕史)