試合レポート

松山vs上尾

2021.07.24

松山がBシード上尾を接戦で下しベスト8へ

 県営大宮球場の第二試合はBシード・上尾松山という公立伝統校同士の一戦となる。

 まずはスタメンだが、上尾は前の試合からの変更点は7番に川田駿介(3年)を入れた所だ。一方の松山は前の試合から大幅に変更し2番に嶋口颯(2年)を入れ、5番には鳥塚大輝(2年)を入れる。前の試合6番の山岸裕弥(1年)と8番の佐藤芳樹(3年)を入れ替え、7番には山田陽(2年)を入れる。

 先発は上尾がエース新井陸斗(3年)、一方の松山は背番号10の左腕・佐藤が登板し試合が始まる。

 先制したのは松山であった。

 松山は初回、上尾・新井の立ち上がりを攻め先頭の長谷虎太郎(3年)がセンター前ヒットを放ち出塁するとすぐさま二盗を決める。一死後、3番・太刀川嵐(3年)がショートゴロエラーで出塁し一死一、三塁とチャンスを広げると、二死後ダブルスチールを仕掛ける。

「この場面、実は、直前で上尾・高野監督が『来るぞ』と選手達に声かけていたので、取り消しのサインを出したのですが、一走が行ってしまって。えーいやってしまえと」

瀧島監督も腹をくくったそうだが、これが見事に決まり松山が先制する。

 その後は両投手が好投し試合が落ち着く。松山の佐藤は緩いカーブを巧みに使いこの日は制球も良い。一方の上尾・新井は今大会やや不調であったが、この日は素晴らしい出来であった。ストレートは両コースにきっちりと決まり、スライダーやカットボールのキレも良く今大会好調の松山打線に対し序盤3回で6奪三振を奪う。

 試合は両投手の好投の踏ん張りもあり1対0のまま終盤戦へ進む。


 このままでは終われない上尾は終盤猛反撃を見せる。

 8回表、一死から7番・中村峰(2年)が相手エラーで出塁すると、すぐさま二盗を決め一死二塁とする。さらに二死後、代打・村田恭汰(3年)がレフト前ヒットを放ち二死一、三塁とチャンスを広げるが後続が倒れ、絶好の同点機を逃す。

 すると、松山はその裏、この回先頭の竹谷修治(2年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、すぐさま二盗を決め無死二塁とする。一死後、4番・菅原和朗(3年)がライト前へポトリと落ちるヒットを放ち一死一、三塁とチャンスを広げる。ここで続く鳥塚大輝(2年)がサード強襲のタイムリーを放ち貴重な追加点を奪う。

 2点を追う形となった上尾は、最終回にも一死から3番・金丸健司(2年)がライト線へ二塁打を放つと、二死後、5番・石川陽己(2年)、6番・金元靖治(3年)が連続四死球を選び二死満塁とする。さらに続く川口翔太朗(2年)は追い込まれるが、セカンドが足を攣った影響で試合が一時中断する。仕切り直しとなったが川口は三振に倒れ万事休す。

 結局松山が2対0でBシード・上尾を下しベスト8進出を決めた。

 まずは松山だが、この日は何と言っても佐藤に尽きる。この日低めに決まっていた緩いカーブを中心に組み立て上尾打線を幻惑した。最後セカンドが足を攣り間が空いた場面でも「自分もストッキングが外れていてタイムを取って間を空ける予定だった」(佐藤)と、あくまで冷静であり最後まで笑顔で投げ切った。とはいえ、次の相手は春日部共栄だ。その命運は「自分はあくまで最初を投げる投手で、終盤投げるエースへとつなぐのが役割」と、あくまで謙虚な佐藤の投球にかかっているであろう。

 一方の上尾だが、この日はエース新井がこれまでとは見違えるような素晴らしい投球を見せた。だが、持ち味である堅い守備が3失策と乱れたのは誤算であった。打線も序盤の2併殺や守備の乱れの影響もあったか徐々に力みが生まれ緩いカーブを巧みに使う相手の術中に嵌った。

上尾高校の取り組みは公立の模範」(松山・瀧島監督)と、対戦相手も認める公立の雄である。「シード校としてのプレッシャーもあったかもしれない。1点取られても跳ね返せる打線を作らないといけない」(高野監督)と、公立の雄の挑戦は続く。

(文=南 英博

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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