相模原弥栄vs金井
オリックス山本ばりのフォームが奏功、相模原弥栄エース永守が7回2失点
相模原弥栄先発・永守蓮
徐々に日差しが弱まってきた[stadium]相模原サーティーフォー[/stadium]では、相模原弥栄と金井の両チームによる3回戦が行われた。
試合は序盤、先攻の金井が2回に7番・前田 波音人、3回には4番・佐藤 挙輔のタイムリーで2点を記録した。対する後攻・相模原弥栄は初回の押し出しのみと、ここまでは金井が優勢に進める展開で試合が進んだ。
しかし中盤、相模原弥栄が反撃を始める。5回に二死三塁から、4番・永守蓮の一打で追いつくと、6回には相手のミスと1番・武田 京真のスクイズで4対2と勝ち越しに成功した。
その後、相模原弥栄が7回に一気に5得点を奪う攻撃で9対2とコールドを成立させて、3回戦突破を決めた。
一時は逆転を許した相模原弥栄だったが、エース・永守が最後までよく粘った一戦だった。
「2、3回の時は甘くなった決め球を打たれたので、『これ以上は失点しない』と思いながら冷静になってコースを突くようにしました」とスライダーの割合を増やしながらも落ち着いた投球で、金井に追加点を与えなかった。
セットポジションから体重移動の時間を長く使い、出来る限り出所を見にくくしたフォームから、着地と同時に一気に身体を回転させる。その回転に合わせて右腕を鋭く振り抜くと、勢いのあるストレートと鋭く曲がるスライダーを投げ分けて金井打線を中盤以降はきちんと封じ込めた。
一見すると山本 由伸(都城出身)のような投球フォームを印象付けた永守だが、本人でもそこは意識しているところだった。
「6月半ばくらいから取り入れてみたんです。その時まではストレートの球威に課題を感じていて、それを克服するために、山本投手のテイクバックを試してみたらいけそうだったので、今は似せるようにしています」
普段からプロ野球選手の動画を見る習慣があり、そこで自身のフォームに活かせるものがあれば試し、フィットすればアレンジしてフォームを改良していく。この試行錯誤を繰り返すことで、現在は最速140キロを計測するところまで成長した。175センチ67キロと細身ではあるものの、強豪私学の剛腕投手たちに引けを取らない投手になった。
また打っては4番に座り、5回には「ボールを見極めて、コンパクトにボールを捉える」ことを意識して同点打を放ち、6回の勝ち越しに繋げてみせた。すっと立った状態で、テイクバックもほとんどとらない無駄のないフォームから、ボールを捉えていく。ボールを捉えてから運んでいくパンチ力があり、4番打者としては十分な力があるだろう。
エースで4番と重責ではあるものの、「どちらでも結果を残すつもりでいます」と覚悟は十分できている。今後も投打の要として活躍なるか注目だ。
チームは今春の県大会で桐光学園に敗れ、強豪私学の壁を感じて以降、強豪私学を常に意識したノックに取り組むなど、対策を十分講じてきた。次戦は白山との対戦となるが、鶴岡監督は「今年は相手に食らいついていく方が戦いやすいところがあるので、4回戦以降は望むところかなと思います」と対戦を待ちわびている様子だった。4回戦以降、相模原弥栄がどういった試合を見せるか楽しみだ。
(文=田中 裕毅)