試合レポート

安城vs犬山

2021.07.18

勝負強さを示した安城が9回に追いつき、延長10回犬山にサヨナラ勝ち

 西三河地区と尾張地区で、ともに熱心に活動している中堅県立校対決ということで、好試合を期待していた。ことに安城は加藤 友嗣監督が研究熱心で、さまざまな野球にトライしているが、機動力を生かしながらいろいろと仕掛けていくスタイルの野球の追及をしている。これに対して、犬山がどういう対応をしてくるのかというところが見どころだった。

 犬山は初回、先頭の小川が左翼線へドライブのかかった打球を放って一気に三塁打とする。まだ、安城の神谷が自分のリズムに乗り切っていないところでの一打だけに効いた。そして、一死後初球を叩いた伊佐治の中前打で生還。先制点を挙げた。しかし、その後は神谷も何とか落ち着いて初回は1点のみで抑えた。

 何とか早い回で追いついておきたい安城。その裏は、苫井君が二塁打して、暴投で三塁まで進んだが得点にはならず。そして4回、二死走者なしから大野君が四球で出ると、わずかなスキを突いてスルリと盗塁を決める。その直後に岩田が三遊間を破って二塁走者をかえすという安城らしい機動力を生かした形で同点とした。

 しかし、犬山もすぐに突き放した。

 5回、犬山は一死から小川が風にも流された打球が左翼線二塁打となると、四球もあって二死一、二塁から、4番の平井が右へ巧みにおっつけて、打球は右翼線二塁打となって2人がかえった。平井のコースに逆らわない巧みな打撃が光った。

 7回、安城は二死二塁から7番稲垣が巧みに中前へはじき返して再び1点差。しかし、9回に犬山は二死から小川が強烈な投手返しの安打で出ると、続く英の当たりは風に戻された飛球で、これが二塁打となって犬山がまた2点リードとなった。

 こうして、終始犬山の流れという感じで9回まで来たが、安城は最後の攻撃で流れを手繰り寄せた。この回、先頭の3番苫井が左翼線二塁打で出ると、大野の内野安打で一、三塁。岩田も三遊間を破ってまたも1点差。バントは失敗となってしまったが、7番稲垣君はしぶとく三遊間を破って走者は止まり、満塁となったかに思われたが、送球がそれてついに同点。安城は、土壇場で勝負強さを示した。

 こうなったら、試合の流れは安城だ。再度登板した太田に対して、安城は10回、加藤監督も「打順がいいのでこの回で決めようという思いでいた」と言うが、鈴木 悠真が期待に応えて右前打。苫井は当たっていたけれども、ここはしっかり送って一死二塁。加藤監督は歩かされるかなとも思ったという4番大野を迎え、犬山バッテリーは勝負を選択。そして、大野は積極的に打って行き左翼線に運んでこれがサヨナラの長打となった。

 加藤監督は、「今年は、打てないチームなので、これまで以上に仕掛けていかなくてはいけない」と言っていたが、ここという勝負どころで打つべき中軸がしっかりと打って行っている。「悔いが残らんように、早いカウントから思い切っていけ」という指示も、各選手に浸透してきているとも言えよう。

 9回表まで、自分たちの流れで試合を作れていた犬山としては、最後に安城の勝負強さにやられてしまったという形になってしまった。とは言うものの、お互いに今、持てる力を十分に出し合った好試合だったといてもいいであろう。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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