試合レポート

叡明vs北本

2021.07.17

叡明が春に続き北本の挑戦を跳ねのけ3回戦進出

 [stadium]県営大宮球場[/stadium]の第二試合は叡明北本との一戦である。この両校は今春にも対戦し、その時は叡明が8回コールド9対2で勝利しているが、今回はどうか。

 先発だが、叡明は今春同様に左腕・松岡 拓道(3年)、一方の北本は今春と異なり2年生の左サイド・小櫃 辰也(2年)と両エースが登板し試合が始まる。

 序盤は北本ペースであった。

 北本は初回、叡明・松岡の立ち上がりを攻め、先頭の寺瀬 雅翔(3年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く小林 倖輝(3年)は送りバントを試みるが、失敗し併殺に倒れてしまう。それでも北本は、3番・大澤 陸斗(3年)がレフト前ヒットを放ち再度チャンスメイクすると、すぐに二盗を決め二死二塁とする。だが後続が倒れ無得点に終わる。

 北本は3回表にもこの回先頭の小櫃はワンバウンドの球に対し三振を喫するが、キャッチャーの一塁への送球が逸れ出塁する。続く高橋 龍也(2年)が送りバントを試みるが、またしても失敗し併殺に倒れてしまう。

 先制したのは叡明であった。

 打線が2巡目を迎えた4回裏、一死から渡部 昂汰(2年)が四球を選び出塁すると、続く櫻井 渉(3年)がライト前ヒットを放ち一死一、二塁とチャンスを広げる。ここで4番・内田 泰雄(3年)がライト前ヒットを放つと、さらにライトがジャックルする間に、二走・渡部が本塁へ生還し叡明が1点を先制する。


 北本もすぐに反撃を開始する。

 5回表、この回先頭の高橋がセンター前ヒットを放ち出塁すると、さらに相手ワイルドピッチで無死二塁とする。ここで続く横山 翔太(3年)がセンター前ヒットを放ち無死一、三塁とチャンスを広げると、さらに一死後一走・横山が二盗を決め一死二、三塁とする。ここで9番・高鷲 優太朗(3年)の所でスクイズを敢行するがファールとなり結局三振に終わると、後続も倒れ三度無得点に終わる。

 ゲーム前半戦を終えヒット数は北本が5本に対し叡明が2本、北本がやや押し気味にゲームを進めるが、得点は叡明が1点をリードし前半戦を終える。

 6回裏、叡明打線は3巡目を迎える。この回先頭の荒木 楓稀(3年)がセンター越えの三塁打を放ち出塁するが、北本・小櫃の粘りの前に続く渡部、櫻井が凡退しチャンスが萎む。それでも、二死後4番・内田がレフトスタンドへ2ラン本塁打を放ち貴重な追加点を奪う。このまま無得点で終わると試合の流れが変わりかねない状況だっただけに値千金の2ランとなる。

 これで流れを掴んだ叡明は、7回裏にも一死から8番・中山が四球を選び出塁すると、続く松岡がきっちりと送り二死二塁とする。ここで1番・荒木がライト越えのタイムリー三塁打を放つと、続く渡部もレフト前タイムリーを放ちこの回さらに2点を追加するなど5対0とし北本・小櫃をマウンドから引きずり降ろす。

 一方、粘る北本も8回表、この回先頭の代打・坂巻 風太(3年)が死球で出塁すると、一死後2番・小林 倖もライト前ヒットを放ち一死一、二塁とする。さらに続く大澤がきっちりと送り二死二、三塁とすると、4番・小林 大介(3年)がライト前タイムリーを放ち1点を返す。

 だが、反撃もここまでであった。

 叡明は8回裏にも、この回からマウンドに上がった北本の2番手・菅野 直洋(3年)を攻め立て、相手エラーと四球などで一死満塁とすると、打撃妨害や代打・佐々木 大介の犠飛、荒木のライト前タイムリーなどでさらに3点を追加する。

 投げては叡明の先発・松岡が思い切りの良い北本打線に7安打を浴びながらも8回1失点で抑える粘投を見せる。

 結局、叡明が8回コールド8対1で北本を下し4回戦へ駒を進めた。


 まずは叡明だが、
「(1点リードしてはいたが、ヒット数で上回られ)劣勢の中、6回はあそこで打てなかったら、たぶんひっくり返されていたんじゃないかなっていう所で、よく4番の仕事をしてくれた」
と、中村監督も試合後、安堵の表情を浮かべていた。確かに両チームに点差ほどの差は感じなかっただけに6回の本塁打は値千金となった。本塁打を打った内田は
「チームとして小櫃対策としてスライダーを狙って行こうと。一打席目はうまく打てなかったんですが、狙い続けようと。春も抑えられていたんでやってやろうと」
と、本塁打の場面を振り返る。

 一方の北本だが、今春のリベンジとはいかなかった。打線はこの日の序盤、再三のチャンスも犠打やスクイズを決められず流れをわたしてしまった。また、エース小櫃は体調不良でぶっつけ本番となったそうだが、今春のリベンジにと中盤まで見事な投球を見せていた。だが、6回の場面では足を攣りながらも無死三塁から何とか二死三塁まで持ってきたが
「初球スライダーで空振りが取れて合っていないなって思って、力強く投げたんですが相手が1枚上手でした。今後は対策を立てられても打たれないようなボールを投げて、さらにスタミナ面を向上させたい」(小櫃)
と、最後は素直に相手を認めつつ、今後へ向け更なる向上を誓った。とはいえ、1年秋は50~70球でやや疲労の色を見せていた彼も今春の滑川戦では160球完投勝利を飾っている。自分達の代となる秋以降、彼がどのような成長を見せるか楽しみな存在だ。

(文=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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