西尾vs惟信
西尾が攻守に充実ぶりを示し、思惑に近い形の展開で快勝
右と左の好投手を擁し、投手陣を軸として堅実な戦いぶりで上位進出を窺う西尾。今春は西三河地区ブロックを勝ち上がって進出した県大会では、優勝した愛工大名電に善戦して、力のあるところを示した。田川誠監督としても、「自分が母校に赴任になって以来、一番手ごたえのあるチーム」と言うように、好感触を得て挑む夏である。
初戦ということもあって、西尾は満を持して川井君が先発し打っても4番打者として登場。その投打にも注目したいところだった。
川井君は初回、3者三振という文句のない立ち上がりだった。スピード表示ではストレートは133~5キロを示していた。そして西尾は2回、先頭の苫井君が右中間二塁打で出ると、暴投の間に一気に二塁から本塁を陥れて先制。なおも、二死二三塁とチャンスを作ると、1番松井君が右前へ落して2者が返ってこの回3点を入れた。
さらに3回は3番杉山君が中前打で出ると、続く川井君がジャストミートした打球は左中間深くスタンド上段まで運んだ2ラン。なおも四球と野選でチャンスを広げていき、7番蛭川君がしぶとく三遊間をゴロで抜いて2点タイムリー打を放ち、西尾は7対0とリードを広げた。
そして6回にも一死から松井君が左越三塁打を放つとまたも勢いづく。4回にセンターから登板した2番手の右サイド稲荷君を打ちあぐんでいた西尾打線だったのだが、松井君は見事に捉えた一打だった。続く小納谷君が中前に落として8点目。さらに杉山君も強烈な投手返しの内野安打で続くと、川井君はさすがに警戒されて四球。苫井君の内野飛球はインフィールド宣告がなかったので、落球があったものの三塁へ送球して二死となった。ただ、その間に三塁走者は生還して西尾は9点目が入った。
そして、7回には左腕加藤君を送り出し、加藤君もスッキリと3人で抑えて三振も2つ奪った。
田川監督としても、ほぼイメージ通りの戦いが出来たことで満足感はあったようだった。
「去年(独自大会)、一昨年と夏は悔しい思いをさせられていますから、正直勝ててホッとしたというところもあります。継投も、本当はもう一人挟みたかったんですけれども、そこはちょっと慎重になりました」
試合後は、こう振り返っていた。
そして、川井君に関しては、「三振しても引きずらないところがあってしっかり切り替えが出来るので、最初の打線は三振でも心配はなかった。当たれば、あれくらい(推定140m)飛ばす能力はあります。ただ、投球に関しては、無駄な四球や球数も必要以上に多くなっていたので70点くらいですかね」とやや厳しかった。しかしそれも、先を見据えた戦いが出来るからこそとも言えそうだ。
川井君自身は、1年秋の全三河大会での延長での敗戦や今春の愛工大名電に一発を打たれた悔しさもバネに、自分自身も成長してきていることを実感しているようだ。
惟信としては、結果的には3安打完封負け。三塁へ進んだのも、5回の一度のみだった。
(文=手束 仁)