八潮南vs県立川越
八潮南・好投のエース砂川を支えた外野シフト
[stadium]県営大宮球場[/stadium]の第二試合は昨秋に前年覇者・狭山ヶ丘を下した県立川越と八潮南との一戦である。第一試合に続き降ったり止んだりの雨の影響でグラウンド整備に時間がかかり16時41分スタートとなった。
先発は八潮南・砂川 海翔(3年)、県立川越・小澤 悠真(3年)の両エースが登板し試合が始まる。共に制球力が持ち味の両投手である。特に県立川越・小澤は内外角への制球力が抜群な好投手である。
試合は両投手の好投もあり非常にテンポの速い展開で試合が進む。
先制したのは八潮南であった。
八潮南は3回表、この回先頭の砂川が右中間へ三塁打を放ち出塁すると、一死後9番・上田 恭斗(2年)がライト前タイムリーを放ち1点を先制する。
先制を許した県立川越はすぐに反撃を開始する。4回裏、この回先頭の田島 悠真(3年)が四球で出塁すると続く中島 慧翔(3年)が相手の外野シフトをかいくぐり右中間へ二塁打を放つ。だが、本塁を狙う勢いであった一走・田島が三本間で止まった影響で挟殺されチャンスが萎む。それでも、二死後5番・渡辺 海地(3年)がライト前タイムリーを放ち1対1の同点とする。
均衡を破ったのは八潮南であった。
6回表、一死から9番・上田がファースト後方へフラフラと上がる飛球を放つ。ファーストはこの打球を捕球できず上田は出塁すると、続く竹島 京隆(3年)の所で八潮南ベンチはエンドランを仕掛ける。竹島は内野ゴロに倒れるが一走・上田は二進する。ここで2番・笠井 紀良(3年)が右中間へのタイムリー三塁打を放ちまず1点、さらに相手のパスボールでさらに1点を追加し八潮南は3対1とする。
だが、終盤は県立川越ペースで試合が進む。
2点を追う県立川越の反撃は8回裏、やや疲れが見え始めた八潮南・砂川を攻め、一死から1番・浅香 成哉(3年)がレフト前ヒットを放ち出塁する。二死後3番・中島、4番・上野 敦大(3年)が共に四球を選び二死満塁とするが後続が倒れ絶好の同点機を逃す。
県立川越は最終回にも二死から8番・渋谷 祐介(3年)、9番・小澤が連続四球を選び二死一、二塁と最後のチャンスを得る。だが、続く浅香はピッチャーへ高いフライを放つ。万事休すかと思われたが、ピッチャーがマウンドから外れ、慌ててその他の内野陣が追いかけ、キャッチャーが捕球しに行くが間に合わずエラーとなる。だが、一走・小澤が二塁を大きくオーバーランした所をこぼれ球を拾ったセカンドは見逃さず、落ち着いて二塁封殺される。
まずは八潮南、与四死球7ながらも最少失点で凌いだエース砂川の粘投はもちろんだが、この日一番目を引いたのは極端な外野シフトだ。基本布陣として右打者の場合はレフト、ライトが共にライン寄りに守り、左打者の場合はレフトが左中間寄り、ライトが右中間寄りに守る。当然打者によってはアレンジをするが、この日も面白いように、相手打線を苦しめる。本来左打者の左中間へ二塁打コースの打球がレフトの守っている正面へ飛び、右打者のレフト線へ二塁打コースの打球が単打止まりとなる。この日はこれが当たった。
一方の県立川越もエース小澤は良く投げた。打線もやや外野のシフトに嵌った部分もあったが「結局我慢できず前に出されて打っているので打球のスピードが出ず追いつかれてしまった」と紫村監督はそもそもの部分を指摘していた。また得点に直結する2度の走塁ミスが最後まで響いた形か。
(文=南 英博)