敦賀気比vs松商学園
北信越を代表する古豪と強豪校の対決、敦賀気比が逆転サヨナラで乱戦を制す
初回に3ランを放ち本塁へ向かう敦賀気比・大島君
北信越大会出場通算54回目で優勝も15回の松商学園。片や、昨秋の優勝校でもあり、2季連続で35回目の出場で優勝も7回という実績を誇る敦賀気比。まさに、北信越を代表する古豪と強豪校の対決という注目の好カードとなった。北信越大会の歴史で言えば第131回大会の決勝カードでもある。
前日の1回戦では、新潟を5回コールドゲームで退けた敦賀気比。その強力打線は、この日も初回から火を噴いた。
先頭の東鉄心君が初球を叩いて左前打すると、続く沼田君はバントファウルなどで追い込まれながらも、右前へ運んで一二塁。前川君がしっかりと送って一死二三塁とすると、4番大島君は初球を捉えて右翼席中段へ運ぶ3ラン。強烈な一打だった。さらに、敦賀気比は上加世田君以下、安打が続いて満塁としたが、ここは何とか松商学園の渡邊君が踏ん張って、併殺でピンチを逃れた。
ただ、3点のリードはあったが、敦賀気比の竹松君はもう一つ制球が定まり切らず、4回に内野安打後に5連続四球で3押し出しで同点としてしまった。「普通だったら、当然交代なんですけれども、竹松に何とか変わって欲しい、何かを掴んでほしいという思いもあって引っ張った」という東哲平監督だった。しかし、9番吉水君がカウント2ボールからストライクを取りに来たところを狙い打って中前打で逆転。
この回、やっと一つ目のアウトは8人目の忠地君の放った5点目となった犠飛だった。さらに内野安打で再び満塁となって、2つ目のアウトも10人目となった3番織茂君の中犠飛。なおも攻め続ける松商学園は4番斎藤 優也君も中前へタイムリー打を放ってこの回7点が入る。竹松君はこの回だけで50球を費やし、4回終了時点で球数は101球を数えてしまった。
松商学園は5回にも高﨑君の二塁打と野選などでさらに1点を追加する。これで、試合のに枯れは完全に松商学園に傾いていったという感じでもあった。
好救援で試合を立て直して、サヨナラを呼び込んだ本田君
結局、敦賀気比の東監督は竹松君を6回途中まで我慢して、その後を背番号5の本田君に任せた。
本田君は、小気味よく投げて松商学園打線を上手にかわしながら味方の反撃を待ったが、敦賀気比は6回には失策絡みでの犠飛で1点を返す。さらに7回にも失策と7番森田君の二塁打でチャンスを広げて、8番に入っていた本田君の一二塁間を破るタイムリー打と内野ゴロでこの回2点。じわじわと松商学園の2番手として登板したエースナンバーを背負う栗原君を攻めていった。
そして迎えた9回の攻防。
松商学園は先頭の代打宮下君が死球で出て追加点の好機かとも思えたが、バントで進んだ後に中直併殺で結局3人で攻撃を終えてしまった。その裏、栗原君は2点リードを背負ってのマウンドだったが、先頭の7番森田君に左前打されるものの、後続2人を抑えて二死一塁。1番東鉄心君は2ストライクと追い込まれて、あと1球で試合終了というところだったが、ここでしぶとく一塁内野安打。これで流れが変わる。
続く沼田君は左中間を破る二塁打で2人の走者を迎え入れて、土壇場で同点とした。そして3番前川君は、2ストライクと追い込まれていたがじっくりと見て、フルカウントから8球目のスライダーを捉えて右中間に運んでこれが逆転サヨナラ打となった。
この場面、東監督は「同点になったので失敗してもいいから自分のスイングをしっかりとしていけ」という指示を与えたというが、前川君はそれにしっかりと応えて会心の一打を放ったということである。
これで、敦賀気比は昨秋に続いての北信越大会決勝進出。連続優勝へ向けて、ムードも上がってきている会心の逆転サヨナラ勝だったと言えよう。東監督も、「ここまで来たら優勝で終わりたい」という思いである。
(取材=手束 仁)