新潟産大附vs小松大谷
新潟産大附が接戦で小松大谷を振り切り、北信越大会初勝利でベスト4進出
小松大谷を8安打2失点で抑えた新潟産大附・仙田君
新潟県1位校と石川県1位校の対戦だが、ともに、まだ甲子園出場は果たしてはいない。とは言うものの、近年県内では著しく躍進してきている同士である。石川県と新潟県で躍進している新鋭校対決となった。
小松大谷は2014年夏の石川大会決勝で、常勝星稜に対して9回表まで8対0とリードして初の甲子園をほぼ手中にしながら最後は9対8と大逆転負け。皮肉にも小松大谷は、このまさかの大逆転劇で悲願の甲子園出場を逃したことで、却って有名になった。ただ、小松大谷の素晴らしかったのはその翌年夏、準々決勝で再度まみえた星陵に対して、今度は0対3から逆転勝ちして雪辱を果たしていることである。こうして、小松大谷は県内の強豪校としての存在を十分に示すようになった。
新潟産業大附は学校法人柏専学院を母体として1958(昭和33)年に新潟短期大附として柏崎市に設立された。87年末に大学の校名変更に伴い現校名となっている。野球部としては、2018年夏の第100回記念新潟大会でベスト4に進出さて注目された。近年はスポーツ強化校として県内で各部も実績を上げてきている。今春は県大会1位校として北信越大会に進出した。
そんな、北信越大会としてはややフレッシュな印象を与える対戦となった。因みに、通算出場回数は新潟産大附は3季ぶり2回目。小松大谷は昨秋に続いての出場で14回目となる。
新潟産大附は初回、先頭の小林君がいきなり右中間に三塁打すると、一死後、3番中村君の内野ゴロの間に生還して先制する。さらに、4回にも内野ゴロで追加点を挙げて、必ずしも打って取ったという形ではないものの、リードをして主導権を握った。
しかし、小松大谷もさすがに粘る。その裏すぐに2番中谷君が三塁線を破って二塁打すると、二死となってから、死球後6番池添君が左前打して二塁走者を帰して1点を返す。さらに5回にも、一死から9番吉田佑久君が左前打で出ると、死球もあって二死一二塁となって3番東出君が左前打して同点とした。
小松大谷の北方君は二点を失ったが完投した
1点を巡る攻防の展開となっていったが、再度リードしたのは新潟産大附だった。
7回、新潟産大附は2番関山君が巧みなバント安打で出塁すると、バントでしっかりと送り二死二塁。ここで5番五十嵐君が左前打して、これが決勝のタイムリー安打となる。新潟産大附は、必ずしも破壊力のある打線というワケではないが、出た走者をきちんと進めていく手堅い戦い方が光った。バントもさることながら、キチンと内野ゴロを転がしていくという戦い方で、これで得点も奪っており、派手さはなくても、確実な試合運びをしていると言ってもいいであろうか。
そして、この日は吉野公浩監督の絶対的な信頼と期待を背負って先発マウンドに立った仙田君が好投。エース西村君が注目されている新潟産大附だが、夏を見据えた中でもう一人の信頼出来る投手を作りたいということで吉野監督の期待も高かった背番号10の仙田君だが、見事に期待に応えたといっていいであろう。2失点があって、一時は同点に追いつかれもしたものの、終わってみたら8安打で完投。
吉野監督も、「今日は仙田の完投をイメージしていた。同点にされても交代は考えていなかった。逆転はされていなかったので、そのまま行って大丈夫だと思っていた」と言うように、この日の仙田君に対しての信頼は非常に高かった。
新潟産大附としては、これが北信越大会での初勝利ということにもなった。吉野監督は、「素直に嬉しいですよ。また、新たに歴史を積み重ねることが出来た」と、喜んでいた。
小松大谷としては、注目の北方君だったが、必ずしもいい出来ではなかったという状態だったようだ。本人も、「もっと、相手打線にインコースを意識させるような投球をしなくては行けなかった。それが出来なかった」ということを悔やんでいた。
(取材=手束 仁)