常総学院vs東農大二
選抜からの成長見せた常総学院!東農大二・黒岩 光崇を7回コールドで攻略!
常総学院先発・大川慈英
選抜に出場した常総学院と、強打・健大高崎に勝利するなど県大会準優勝だった東農大二が2回戦で激突。結果は10対2で常総学院が7回コールド勝ちを収める結果になった。
試合は先攻の東農大二が初回、3番・鵜木 健成にタイムリーが飛び出し東農大二が先制に成功する展開からスタート。追いかける形となった常総学院は、直後の攻撃で、1番・鹿田 優が四球を選ぶなど一死一、二塁のチャンス。ここで4番・田邊 広大の同点タイムリー。さらに続く5番・柴田 将太郎のホームランなどで一挙6得点を奪った。
すぐさま逆転した常総学院の先発・大川 慈英。立ち上がりこそ失点したが、2回以降は安定の投球。県大会から復調してきたピッチングで東農大二打線に反撃を許さない。
3回と4回にもそれぞれ1点を奪った常総学院。5回に東農大二に1点を返されたものの、6回に5番・柴田の4打点目となるタイムリーなどで常総学院は10対2として勝負あり。7回コールドで東農大二を下して、常総学院がベスト8進出を決めた。
振り返ると、この試合は4打点をマークした柴田の活躍が大きかった。選抜の時は控えキャッチャーとしてベンチ入り。中京大中京戦で代打として出場してヒットを打つことはできなかったが、甲子園デビューを果たした。
甲子園を経験し「速球に対してどれだけ強くスイングができるか」と考えた末に柴田はフォームの微調整を行った。それまでは大きなテイクバックをとっていたが、速球に対応するために動きを小さくコンパクトにした。元々、身体にパワーがあった柴田だったが、テイクバックの微調整に伴って、ロングティーやティーバッティングなどでフォームや、ミートポイントを確認。新しいフォームでもしっかりと打球を飛ばせるようにしてきた。
そして迎えた東農大二戦では、新しくした小さいテイクバックでも、手元まで引き付けたボールを押し込んでスタンドまで運んだ。選抜が終わってから柴田が取り組んできた成果が結果に結びついた1本だった。これが公式戦初、高校通算6本塁打だったが、次の相手は花咲徳栄。強力な投手陣を擁する相手だが、「繋ぐ攻撃で、どうやって崩せるかが大事になると思います」と次戦のポイントを語った。花咲徳栄戦では、ホームランだけではない柴田の打撃が見られることを期待したい。
東農大二先発・黒岩光崇
一方、敗れた東農大二。健大高崎打線を封じた先発・黒岩 光崇の投球に注目が集まったが、結果は6回10失点の悔しい結果だった。しかし試合を見ていて気づくのは、右と左の打者への投球だ。
打たれた8本のヒットは、右打者6本、左打者2本という内訳。この左打者は9番・大川だけであり、他の左打者は完全に封じ込めた。緩いカーブ、縦のスライダーも良かったが、特にチェンジアップが左打者はタイミングを合わせられず、バットが空を切ることが多く見られた。健大高崎も主軸・小沢 周平などの左打者が、この術中にはまり、打てなかったことが考えられる。
だが、右打者に対しては苦戦を強いられているように感じた。スライダーを軸に、外の出し入れを軸に勝負していた黒岩。左打者であれば、それに加えてチェンジアップを使った配球できていたことを考えると、ピッチングの幅が制限されていたのだ。だから、右打者には6本のヒットを許したのではないだろうか。
ただ、黒岩のピッチングについて柴田は、「変化球の切れが良いので、左打者は見極めができていなかったので、大変だったと思います。実際に自分も高めの真っすぐとカーブは見分けがつけにくかったです」と打席から見た黒岩の凄さを語る。
黒岩はまだ2年生。夏だけではなく、さらに1年間かけて成長することが期待される。2022年の群馬を代表するサウスポーになることを楽しみにしたい。
(取材=田中 裕毅)