試合レポート

岡崎城西vs岡崎工科

2021.05.04

岡崎勢近隣対決は、1年生も含めて様々な可能性にトライし合う

岡崎城西vs岡崎工科 | 高校野球ドットコム
本塁打を放った深谷君を迎える岡崎城西ベンチ

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 愛知県では、今年の4月から県立の工業校はすべて校名が、工科高校に改められた。従って、かつて2度の甲子園出場の実績のある岡崎工業高校も、21世紀枠で甲子園出場を果たしている豊橋工業高校もいずれも岡崎工科高校、豊橋工科高校ということになった。

 その岡崎工科、この日は当初予定していた静岡県の常葉菊川との試合がコロナの影響で県外遠征禁止となり、急遽予定を変更して、「近隣の学校にお願いして」ということで、岡崎城西との試合となった。

 岡崎市のやや北西部にある岡崎城西。学校から、500mほどさらに矢作川に沿って北上していくと、強豪のサッカー部とハンドボール部と共に野球部の専用グラウンドもある。これが、岡崎城西の第二運動施設と呼ばれているグラウンドである。

 専用と言っても、レフト部分はサッカー部のグラウンドに掛かるため、フェンスを立てて、90m届かないくらいとなっている。しかも左中間の膨らみがないため、ライナーで左中間を抜くとそのまま柵越えとなってしまうということにもなる。しかし、ライトは十分に取れている。外野には、保護者などの観戦用にベンチも置かれている。環境としては恵まれている方だと言っていいであろう。

 そこに、近隣の岡崎工科を招いての練習試合である。岡崎城西は今春西三河一次リーグ2勝2敗で二次トーナメントへ進めなかった。岡崎工科も、二次トーナメントへ進出して県大会に出場も果たしたが初戦で大同大大同に敗れている。結果としては、お互いに、必ずしも満足のいく春季大会ではなかったかもしれなかった。

 それだけに、入学して1カ月でまだチームのユニフォームが間に合っていない1年生も含めて、いろいろ試しながらの試合となった。岡崎工科の平松忠親監督は、
 「投手は1年生も試合で使いながら、どういう使い方がいいのかを考えていきたい。捕手も、今年はちょっとと期待出来そうな選手が入ってきたので、試合で使って試していきたい」
という考えだ。何しろ、35人の新入生が入り、90人近い大所帯となっている。県内の公立校としては、最多と言えるのではないだろうか。

 なお、岡崎城西の校舎に隣接したキャンパス内にある第一グラウンドは400mトラックが取れる立派なものとなっている。学校としては岡崎城西安城学園の系列校で、その系列大としては石田純也監督の出身校でもある愛知学泉大がある。愛知学泉大も岡崎城西に近い矢作川沿いに位置している。



岡崎城西vs岡崎工科 | 高校野球ドットコム
岡崎工科・小林 悠真君

 試合は、1試合目は岡崎工科が岩田君の本塁打で先制したが、岡崎城西も2回にすぐに逆転。3回までは、点を取り合う展開となったが、4回から岡崎工科は1年生の永井君が投げたが、さすがに荷が重かったか、打者一巡で6失点。高校野球の厳しい洗礼を受ける形となった。それでも、平松監督は、「試合を経験していくことで学んでいって欲しい」という思いである。

 結局この試合は、この6点が効いて岡崎城西が8回にも深谷君の2ランなども出て、大勝した。岡崎工科としては、もう一人の1年生投手で左腕の横手投げの河野君が面白い存在となりそうだ。変則だけに、短いイニングならば比較的早い段階でも通用するかもしれない。

 岡崎城西はエース格の時任君は、石田監督も、「ある程度は試合をまとめられるし、投球は安定している」という評価だが、この日も4イニングを無安打3四球で1失点に抑えた。さらに、3人目として投げた小池君も、9回は失策絡みで失点はしたものの、比較的曲がりの鋭いスライダーで好投した。

 岡崎工科の注目の好捕手、小林悠真君は、この日は5打席で4打数1安打1打点。もう一つ本来の力を発揮しきれなかった。

 そして、2試合目では岡崎工科の平松監督は、1年生捕手の片桐君に1試合マスクを任せた。片桐君は、「当たれば大きいのだろうけれども、まだ、高校野球の変化球にはついていき切れていない」ということで打撃では3三振を喫してしまったものの、リード面では無難だったし、盗塁も刺した。ケガなどの影響もあって、3月の時からポジションもかなり入れ替わっている不安もある岡崎工科。これから貪欲に試合をこなしていきながら、夏へ向けて調整していきたいところである。

 1年生が18人入部して、総勢で49人となった岡崎城西。さらに、ネット裏では10人の女子マネージャーが甲斐甲斐しくそれぞれの仕事をこなしていた。チームの雰囲気も明るく、選手たちもよく声を掛け合っていて、試合に出ていない選手はトレーニングなどで調整しながらも、仲間にもよく声をかけていた。石田監督は静岡県の磐田南の出身だが、再就任で3年目。今の3年生とともにチームを作ってきているだけに、このチームに対する思いは強い。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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