千葉学芸vs中央学院
プロ注目・有薗直輝(千葉学芸)に高校通算57本塁打!チーム初のベスト4進出に導く!
ホームランを放ち喜びを爆発させる千葉学芸・有薗 直輝
千葉学芸は有薗 直輝。中央学院は細谷 怜央と飯尾嶺のWエース。互いにプロ注目の選手を中心にベスト8まで勝ち上がってきた。両チームによる準決勝進出をかけた一戦は、千葉学芸が終始力を発揮する形になった。
2回、千葉学芸は中央学院バッテリーのミスで先制に成功。続く3回は2番・鈴木 結翔のヒットでチャンスを作ると、「ストレートを待ちましたが、甘いボールが来たら振るつもりでした」という3番・有薗が捉えた打球はレフトスタンドに飛び込むホームラン。通算57本塁打となる1本で3対0と中央学院を突き放した。
千葉学芸の先発はエース・北田 悠斗。縦回転のフォームから、伸びのあるボールを投げ込むのが特徴的な投手。秋もストレートを軸に好投が続いたが、この日は変化球が効果的。ストレートと同じ振りからチェンジアップ、スライダーといったボールで中央学院の各打者に気持ちよくバットを振らせない。打たせて取る投球で中央学院打線を封じ込めた。
6回、7回とそれぞれ1点ずつ追加した千葉学芸。中押しに成功して試合を決定づけると、8回に中央学院3番・片山 春登の犠牲フライで5対1とされたが、最終回に3点を追加。これでダメ押しとした千葉学芸が8対1で中央学院を下して、初のベスト4進出となった。
中央学院が誇るWエースの1人・飯尾 嶺から6回途中で4得点を奪った千葉学芸。そのなかでも3回に奪った千葉学芸3番・有薗のホームランは大きな追加点だったと言えるのではないだろうか。
一死から出塁した2番・鈴木 結翔を一塁においた場面で、中央学院・飯尾の初球から迷わず振り抜いた。打ったん瞬間にわかるようなホームランだったが、これで高校通算57本目。目標に掲げている65本塁打まではあと8本となった。
その有薗だが、千葉学芸へ進学して変化したことが2つあったと昨秋の取材に語っていた。1つが開かずにインサイドアウトでバットを振り抜くこと。もう1つが逆方向への意識だ。この2つがホームランバッターへの成長に繋がったと明かしたが、中央学院戦のホームランを振り返ると、ボールの下にバットを入れるように打っていた。
上手くボールの下に入れながらもバットに乗せながら運んだ印象だった。これについては入学当初から取り組んできたことだと有薗はいう。
「ボールに対して平行に入れるように心がけてきました。だから、ボールに対して斜め下くらいからミートさせようとしていますし、自然とボールがバットに乗っているようになっていると思います」
中央学院・飯尾嶺
しかし、こうしたスイングをすれば、必然的にフライアウトになる確率は上がる。事実、中央学院戦でも4打席目はフライアウトに倒れた。だが、有薗の中ではフライアウトはOKくらいのつもりでスイングをしているという。それくらいの割り切ってスイングをしてきたことで、57本のホームランを積み重ねたといっていいだろう。
また、昨秋の専大松戸戦で外角中心の攻められたことを受けて「逆方向へのバッティングを練習してきました」と有薗。この試合では冬場の成果を発揮する場面はなかった。ただ高倉監督は「三振した場面は逆方向への意識が見えたので良かった」と成長を感じていた。準決勝では逆方向にも大きな当たりが出るか楽しみにしたい。
その有薗について対戦した中央学院の飯尾は「警戒していたバッターだったので、気合を入れました」とコメント。打たれたものの「思い切って勝負できたのは良かった」と振り返るが、この日は6回途中までで打者28人に、球数104球、被安打9、与四死球3と打ち込まれる結果となった。
エース・細谷 嶺とともに注目された飯尾だったが、「前日から準備をしてきましたが、結果的に自滅しました」と自身の投球を反省する。コンパクトで、非常に整ったフォームが印象的だった飯尾。左腕を使って開きを抑えようとしていることも見て取れたが、千葉学芸戦は若干開きが早いように感じた。その結果、全体的にボールが浮いてしまい、千葉学芸のバッター陣に捉えられた。
冬場は走込みはもちろん、内野に交じってノックに受けた。身体全体を使ってボールを投げることで、指先の感覚を養ってきた。それがピッチングなかでは真っすぐの質を高めることに繋がり、細谷とは違う武器を手にした。ここに飯尾は手ごたえを感じ、「夏へ自信を付けることが出来ました」と話していた。
細谷とともに夏も中央学院を支え、さらに注目投手の1人として迎えるはずだ。この敗戦を糧に夏の大会では、注目投手として大暴れしてくれることを期待したい。
(取材=田中 裕毅 )