星城vs中京大中京
ミラクル星城、センバツ4強の中京大中京も下して春の県ベスト4
リリーフ起用に応えて好投した星城・石田君
今春のセンバツでベスト4に進出した中京大中京。この大会は2回戦からの登場で初戦は清林館に快勝し、前日の3回戦では豊川との戦いを17点を奪い大差で通過。力を示してきている。
その中京大中京にぶつかる形になった星城は、この大会では2回戦では成章に9回二死走者なしから逆転サヨナラ勝ちし、前日の3回戦も日本福祉大付と1点を巡る攻防を展開して中盤に逆転。大事な場面で相手失策を誘発するなどミラクルな勝ち方で、辛くも逃げ切ってベスト8に進出してきた。
実は、この両校は昨秋の新チームスタート以来、公式戦では三度目の対決となる。最初の名古屋市二次トーナメントでは星城が中京大中京を下している。そして、再度対決した県大会では中京大中京が雪辱。そのまま中京大中京は県大会を制し、東海地区大会も優勝してセンバツ出場を果たすことになった。
つまり、この試合は1勝1敗で雌雄を決する対戦ということになる。
初回、中京大中京は連続安打が出たが、盗塁死などもあって得点には届かず。そしてその裏、星城は四球とバント送球エラーなどで無死一三塁として、3番溝﨑君の左翼線二塁打で二人を帰して先制する。星城ベンチは大いに盛り上がった。星城は、この大会のミラクル的な目に見えない勢いが、チームの雰囲気としても漂っているという感じでもあった。
しかし中京大中京も2回、加藤君のレフトへのソロホーマーで1点を返す。さらに3回には安打で出た満田瀬君をバントで進めて、2番杉浦君の右前打で同点とした。このあたりのそつのない攻めは、さすがといっていいであろう。
そして4回は、先頭の7番赤山君が左中間を破ると、赤山君は思い切ったベースランニングで、一気に本塁まで走り切ってランニング本塁打とした。これて、中京大中京は試合も逆転した。
それでも、星城も食い下がる。このあたりが、この春の星城のミラクルな粘りといってもいいところであろうか。4回は二死走者なしから失策絡みでチャンスを広げ、代打田島君の中前適時打で追いつく。さらに5回には3番溝﨑君が左翼へソロホーマーして再度リードを奪った。
さらに星城は7回、前の回から登板している中京大中京の2番手大矢君に襲い掛かる。死球とバントに1番山下君の安打で一死一三塁としたところで、2番松本君が中越二塁打して1点を追加してなおも二三塁。当たっている溝﨑君が一塁線に叩き返して2者を迎え入れるタイムリーを放ってこの回3点が入った。
中京大中京も8回には桑垣君と原君の短長打などで1点を返したが、星城はその裏に、中京大中京の3人目の林君から7番花田君の二塁打を切っ掛けに、さらに1点を追加。追いかけられていくと逃げていくという星城は、この日もいい形で戦いきっていった。
星城は5回からは2番手として石田君が登板したが、この石田君の好投も大きかった。「このところ調子がわかったので送り出した」ということだった。背番号は11だが、「マウンドに登ったらエースなんだよ」というベンチの指示に従って、思入りよく投げ込んでいっていた。
実質ベンチで指揮を執っている佐藤充寛部長は、「まぐれですけれども、割り切ってチャレンジャーなので、その気持ちでやっていこうということが選手たちの意識としても浸透していっている」と、チームのムードの良さを感じている。
そして、ここの日リリーフのマウンドで好投した石田君に関しては、「(エースナンバーの)藤澤とそん色ないと思っていたので、信頼して送り出した」と言うが、「このチームは、粘ってやっていくという意識は出来ています。辛い時ほど頑張れるという子たちだと思っていますから、常にチャレンジャーという気持ちで向って行きます」と、悲願の東海大会進出を見据えている。
結果的には、自分たちのペースで試合を戦いきれなかった中京大中京。高橋源一郎監督は、「得点をしていって、ランナーを溜めながらも、1点ずつしか取れなかったということが、結果的には流れとして良くなかったということですね。センバツから帰ってきて、緊張が続いていて中で、この大会は畔柳を使わないという形でやってきましたが、そんな中で柴田と大矢、昨日投げた大江と、それぞれいい時と悪い時がありましたが、自分がやっていかなくてはいけないという意識が育っていって、こうした観客の入った大会で経験出来たことは大きかった」と、敗戦の中でも大会を通じての収穫を見出していた。
(取材=手束 仁)