市立柏vs多古
両捕手がキャラ立ち!市立柏vs多古の一戦は1回戦とは思えないハイレベルな一戦に
多古・宮良 優希斗と市立柏・関翔吾
多古vs市立柏の実力公立校同士の一戦は4対3で市立柏が制し、2回戦進出を決めた。
1回戦とは思えないほどハイレベルな試合運びで改めて1回戦で対決するのが勿体ないと思わせるほどの試合内容だった。
この試合、両チームの捕手がキャラ立ちしていた。
まず市立柏の正捕手・関翔吾が良かった。177センチ85キロと恵まれた体格をした強打の捕手で、第1打席では多古の左腕・松井海翔を捉え、先制適時打。2回裏、市立柏は犠飛で1点を追加すると、3回裏にも、関は痛烈な左前安打を放ち、2安打目。さらに相手のミスも絡んで3点目を入れた。
打撃フォームを見るとコンパクトなスイングで実に鋭い打球を放つ関の良さは読みの鋭さ。この試合では、直球に狙いを絞り、変化球についてはファールで逃げるつもりで打席に入っていた。対応力も高く、県内の捕手では上位に入るものはあるだろう。
スローイングも最速1.98秒を計測し、練習では1.88秒を計測するなど、力強い送球を見せている。将来は教員志望ということで、1つ1つのプレーについて根拠を持って話をすることができる。1年生から公式戦を経験しており、腹が据わっている。今後も注目される存在だろう。
そして多古の正捕手の宮良 優希斗(2年)はまさに第2の監督を全うしていた選手だ。試合中は投手、内野手へ常に指示をしたり、発破をかけたり、その掛け合いは指導者と選手みたいなもの。まず名簿を見ないと、3年生だと思ってしまうだろう。実は2年生で学年問わず声をかけている姿に驚きを感じてしまうのだ。
迫屋監督も「声の部分で目立つのは、練習試合で、相手校から言われることなんです」と語る。八街北中時代から捕手一筋の宮良は自分でなにかできるかを考えた時、声を出すことを決めた。機転が利いた声かけができており、かなり視野が広いのだろう。
スローイングについては2.20秒ぐらいだったが、肩を痛めていた時期があり、まだぶっつけ本番のこと。その状態でも宮良は正捕手として起用するだけの良さがあるということだ。ストッピング、ブロッキングもよく、捕手としての総合力はなかなかで、筋力的なものが強くなっていけば、更に見栄えする存在になるだろう。
市立柏・杉本大河
この2人につられて両チームの投手が良かった。市立柏の背番号10の杉本大河は一次予選まで背番号1だったが、思うような内容が残せず、背番号10となった。縦回転で腕を振ることをを意識した投球フォームで、実に伸びのある130キロ前半のストレートを投げ込む。110キロ後半のスライダーのキレもよく、何より絶対に打たせない気迫が感じられた。実力的には十分に大学で続けられるだけの力量を持った投手だった。
また多古の2投手も面白い。先発左腕の松井はフォームが実にしなやかで体の近くで縦回転で、肘をうまく使った投球フォーム。尻上がりに調子を上げ、常時120キロ中盤~128キロと、球速的には突出したものではないが、球質はよく、高校2年春でこのレベルはなかなかで、2年秋に注目される存在になるだろう。
そして多古の2番手・早坂 瞳吾は4番ファーストとして出場。4回表には同点適時打を放つなど、実にシャープなスイングを魅せる右の巧打者だが、マウンドに立つと縦回転を使った合理的な投球フォームで120キロ後半~135キロ前後の速球と120キロ前後のスライダーを投げ込み、抑え込む。野球選手としての能力が高く、今後も注目を集める存在となるだろう。
4対3と僅差を制した市立柏。内外野ともに鍛えられており、実に見応えがあった。次はシード校・千葉学芸。この試合のように粘り強く戦っていく。
(取材=河嶋 宗一)