試合レポート

日大鶴ヶ丘vs早大学院

2021.04.07

日大鶴ヶ丘、前半苦しみながらも6回に一気に爆発で早大学院を下す

日大鶴ヶ丘vs早大学院 | 高校野球ドットコム
満塁で走者一掃の三塁打を放った日大鶴ヶ丘・木村君

 春季東京都大会は、この日から2回戦となる。今春は、新型コロナの影響で一次ブロック予選を実施することが出来なかったということで、昨秋の都大会出場の64校のみで春季大会を争うこととなった。その2回戦がこの日から始まった。

 日大鶴ヶ丘は山本君、早大学院は中澤君とエースナンバーを背負った両左腕が先発。山本君は182cmの長身を利して投げおろしてくる。中澤君はサイズとしてはひと回り小さいかなという感じだが、しっかり脚を上げてためを作って切れ味よく投げ込んでくる。

 この二人の投手戦という様相で始まった。早大学院がやや押し気味で迎えた5回、一死から2番田村君がライトへおっつけながらソロホーマーを叩きこんで先制。打球を捉えてから球が伸びていくというのは。やはりスイングが強い証である。「一番の強打者だけれども、敢えてこの日は4番ではなくて2番に置いた」と木田茂監督の期待も高い逸材である。
 ただ、如何に中澤君が好投しているとはいえ、早大学院としてもこの1点だけではあまりにも不安だ。それが的中した形になったのが6回だった。

 この回の日大鶴ヶ丘は一死から9番山本君が右中間へ三塁打。これが突破口となった。1番渡邉君は四球で、すぐに二塁へ進む。代打足立君はタテのスライダーに空振り三振となったが、その球がキレすぎて後逸となり、三塁走守山本君は幸運の生還で同点となって、なおも一死三塁。このことで、早大学院の石原君としても、タテ系の変化球を要求しづらくなったというところもあったかもしれない。

 そんなこともあってか、慎重になりすぎて連続四球で押し出しとなり日大鶴ヶ丘は逆転。さらに満塁という場面で5番の木村君が一掃の三塁打を中越に放つ。その後に代った佐々木君から犠飛も奪って、日大鶴ヶ丘はこの回6点が入った。

 まさに、ちょっとしたことからビッグイニングになってしまう。1球の恐ろしさというか怖さというか、そんなことも教えてくれたこのイニングだった。

 日大鶴ヶ丘は8回にも2人目の佐々木君を攻めて、二死走者なしから、黒須君、木村君の連続二塁打に四球と、最後は北野君が3人目の椎名君に中前打でコールドゲームとした。前半の展開からは、思いもよらないスコアとなってしまった。

 日大鶴ヶ丘の萩生田博美監督は、「ウチらしい試合と言えばウチらしいですね。相手に勝てるかもしれないかなと思わせておきながら、粘って凌いでいるうちに、何となく点を取っていってしまうという展開。ただ、一歩間違えたら逆に、ウチがコールドでやられていた可能性もありました」と前半の展開の苦しさもあってスコアの割には苦戦だったという思いだった。

 そして、山本君に関しては、「変化球を冬の間に練習してきたんですけれども、捕手の方が秋のままの頭でリードしていたので、真っ直ぐとチェンジアップだけで、単調でした。夏に向けては、それだけでは抑えきれませんからね。ベンチでもしょっちゅう言っていたんですけれども…。5回くらいからやっと変化球を上手に交えられるようになりましたね。このあたりは夏へ向けても、今後の課題です」と、語っていた。

 前半の展開からしたら、何とか逃げ切れるかも知れないという形の早大学院だったが、やはり1点リードのみでは厳しかった。2回の満塁、3回の無死の走者を生かし切れなかったのも響いた。木田監督は、「ここというところでの守りの弱さが出てしまったかな。こういうところが、お坊ちゃん育ち集団だからね」と残念がった。四球で走者をためてしまって長打で帰されるという、一番やってはいけないパターンが出てしまったところが最も反省材料となった。まさに、厳しい場面で、どこまで守り切れるのかというところである。
「期待出来そうな新入生も何人か入ってくるので、夏へ向けてはもう一度作り直していく」と、木田監督は切り替えていた。

(記事:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!