試合レポート

日本学園vs帝京

2021.04.05

堅守・日本学園が長所を存分に発揮!帝京は夏ノーシードに

日本学園vs帝京 | 高校野球ドットコム
浅井颯斗(日本学園)

 日本学園が昨夏東東京王者の帝京を5対1で破った一戦。

 この一戦を振り返れば、日本学園の長所が存分に出た試合だった。
 「今年は守備。守備練習を中心にやってきたチームでした」

 日本学園も1月から2月末まで練習ができない期間が続いた。練習再開後、守備練習をメインに取り組んできた。その成果もあり、人工芝の駒澤球場にしっかりと対応ができていた。

 帝京の打者が放つ打球は速く、ライン際、内野の深いところに飛んでいたが、難なく対応。走者を出しても慌てることなく、準備ができていた。この守備に日本学園の高橋監督は「よく守ってくれました」と高く評価した。

 また投げては技巧派左腕・浅井颯斗(3年)が持ち味を発揮。速球のスピードは120キロ前半。決してはやくはないが、スライダー、カーブを低めに集める投球で帝京打線を手玉に取っていく。リードする澤田夕輝(3年)も「持ち味が出ていて、非常にうまく攻められていました」と絶賛。

 帝京を守備でプレッシャーを与えることができていた。堅い内野守備がはまり、無失策で1点にとどめることができた。

 高橋監督は内心、当たった時、きついブロックに入ったと感じたが、選手たちの「やってやるぞ!」という気持ちが入った表情に期待が持てたという。

 まさにチーム力で勝利した日本学園。その中でもひときわ目を引くパフォーマンスをしていたのが、正捕手の澤田だ。175センチ78キロと恵まれた体格。スローイングタイムは1.94秒を計測する強肩捕手で、ほかの選手と比べても肉体的に恵まれており、チーム内で行われる筋力測定ではチームナンバーワン。高校通算10本塁打を記録しており、パンチ力も優れている。

 狛江ボーイズ時代は一塁手だったが、肩の強さにはずっと自信を持っていた。入学後、外野手だったが、この世代に捕手が少ないということもあり、捕手を務めることとなった。

 捕手としては浅井を盛り立て、自慢の強肩を披露た。打撃でも第1打席で痛烈なクリーンヒット。パワフルなスイングをしていて、今年の東京都でも上位に入る実力を持った選手で、この夏まで見逃せない逸材といえる。


 昨秋、都大会2回戦でコールド負けを喫した帝京はこの試合でも実力を発揮できずに終わった。

 とはいえ、一冬超えて安川幹大(3年)が本格化してきた。180センチ75キロと均整がとれた体格。

 バランスの良い投球フォームから繰り出す常時130キロから135キロ前後の速球は手元でキレがあり、球速表示以上に勢いを感じさせる。

 ストライク先行を行い、120キロ前半のスライダー、120キロ中盤のフォークを織り交ぜ、3回まで無失点、5奪三振。日本学園の高橋監督も「変化球も低めに決まっていてよかったですし、やはり手が出てしまいますよね」と高く評価をしていた。

 安川に関しては、実力的には近年の帝京のエース投手の中でも上位に入るレベルにある。良い時はよどみなく、ストライクが取れてだるさがない。

 惜しむべきは4回表に守備のミスから失点をしてしまったこと。能力的に勝てない投手ではなく、安川ほどの制球力、ボールの切れ、リズムの良さを持った投手で勝てないとなると、野手に責任が回ってしまうのは致し方ない。

 日本学園の浅井に対し、何もできなかった。春は関東大会出場を目指しつつ、夏につながる試合内容を残すことが大事。エースの安川については要所の甘さはあったが、夏も期待が持てる投球内容だった。

 野手については次につながる試合内容は残せただろうか。

 今回のベンチワーク、試合に臨む姿勢のままだとやはり夏も厳しい。戦闘集団といえるだろうか。

 これについては指導者からの叱咤激励でどうにかできるものではない。体の底から湧き出るような最後の夏を迎えるであろう3年生、そしてそれを支える2年生たちの奮起にかかっている。

 昨年の夏休みの練習を見れば、決して惰性でやるチームではないことは重々理解している。苦しい日々は続くが、夏には「さすが帝京だ!」といわれるような強いチームになることを期待したい。

(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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