中京大中京vs常総学院
今大会最速149キロマーク!常総学院を圧倒した畔柳、中京大中京打線の凄さとは
畔柳亨丞(中京大中京)
2回戦最後の一戦は中京大中京と常総学院。ベスト8をかけた一戦は、中京大中京ペースで試合が進み続けた。
2回に中京大中京は7番・櫛田 理貴のタイムリーで先制すると、3回には5番・辻 一汰の犠牲フライと6番・加藤 優翔のタイムリーで3対0とした。すると続く4回には一挙5得点で試合の主導権を握ると、6回と8回にも点数を重ねて常総学院を引き離した。
中京大中京の先発・畔柳亨丞は今大会最速149キロをマークするなど7回1失点。2番手・松田 新叶と柴田 青が点数を奪われたが、9回にも4点を加えた中京大中京が15対5で常総学院を下した。
今大会最速となる149キロを計測した畔柳亨丞。「疲労が残っていました」といいつつも、7回投げて7奪三振と実力を発揮した。常総学院の選手たちに話を聞いても、その実力は伝わってきた。
「思っていた以上にボールが伸びてきたので、結果としてデットボールになりました」(三輪拓未)
「コンパクトに出すと言っても当てるだけになってしまいましたし、ボールのキレが良かったので、つい手が出てしまいました」(田邊 広大)
初戦の専大松戸戦に続いて、相手チームからの驚きの声が続く。畔柳は「疲労があってうわづって四球が出たのは反省ですが、自分のストレートが投げられたのは良かったです」とコメント。また149キロについては、「自分は1球1球に魂を込めているだけなので」と話す。
ただこの時の理由を女房役・加藤 優翔は明確に分析し、話をしてくれた。
「あの時は打席にいた鳥山(穣太郎)君がタイミング取る時に、ワンテンポ深く入る癖があったので、タイミングを崩すためにもクイックとゆっくり足を大きく上げることを混ぜました。それでバランスが整って149キロが出たんだと思います」
確かに畔柳の2試合の投球はクイックモーションが多く、スタンドから見ると下半身をしっかりと使うというよりも上半身の力を利用している印象が強かった。それで140キロ後半の速球を投げ込む畔柳も凄いが、下半身とのバランスが整ったらどれだけのボールを投げ込むのかと想像するだけも期待が膨らむ。準々決勝以降にベストボールが見られることを楽しみにしたい。
一方で常総学院の好投手を攻略した打線。1回戦・敦賀気比戦では、四死球こそ秋本と大川の2人合わせて11個を記録したが、被安打は延長13回まで戦って7本だった。そこから中2日と短い期間で疲労が抜けきらなかったとしても、その2人から10安打9得点を叩き出した中京大中京打線は、やはり攻撃力が高い。
実際に対戦した秋本に話を聞いても、「イメージ通り、足を使った攻撃をされてしまい、そちらの方に神経を使ったためにボールがうわづってしまいました。そのボールをしっかりと捉えてしまいました」と振り返った。
盗塁数は2つだけだが、試合を見ていると果敢に次の塁を狙うなど走塁も光っていた中京大中京。記録には残らない走力で守備からリズムを作る常総学院のテンポを乱した。またバントを絡めながら、浮いてきた甘いボールを確実にミートさせる。シュアなバッティングで打線を繋いだのが中京大中京の攻撃の印象だった。
こうした攻撃こそが、今年の中京大中京野球だと、4番に座る原尚輝は語る。
「試合前から小技と足で相手を攻めると言ってきましたし、今年は全員に繋ぐ意識があります。そのなかでストライクゾーンを上げて打つことをやってきたので、初球からでも打っていけました」
また、この試合で4打数4安打と2番打者として打線に勢い与えた杉浦泰文は2人の投手をしっかりとイメージして打てたことが4安打に繋がったと語っている。
「秋本投手はコントロールの良さと低めに伸びのあるボールが持ち味なので、しっかりと踏み込んでいくこと。大川投手は速球が速いので振り負けないことと、最短にバットを出すことを心がけました」
2人とも事前のイメージ以上のボールを投げていたが、準備してきたことを発揮したことが結果に繋がった杉浦。こういった準備と、日ごろから磨いてきた走力と打撃があるから、好投手の2人を攻略できたのだ。準々決勝の東海大菅生にも同じ野球を展開できるか注目したい。
(取材=田中裕毅)