試合レポート

都立日野vs駒込

2020.10.19

都立日野打線がドカンと2度爆発、力で駒込を退ける

都立日野vs駒込 | 高校野球ドットコム
日野・木下孔晴君

 一次ブロック予選では初戦で都立城東と対戦。「東西の都立の雄対決」として注目もされたが、その戦いを制しての進出となった都立日野。西東京大会で準優勝した2013年のチームのようなパワーや佐々木千隼投手(千葉ロッテ)のような図抜けた選手がいるというのではないが、やはりチーム力は高く評価されている。

 ある程度は、点の取り合いが予想された試合。初回には駒込が、2番有馬君が右越三塁打を放つと、二死後4番三浦竜蔵君が右前へ運んで先制打となる。

 都立日野も2回に一死一二塁としたが、長町君の右邪飛で三塁を狙った二塁走者が駒込の有馬君の好返球で刺された。これはなかなか質の高いプレーだった。

 こうして、前半は予想に反して、試合は守り合い、辛抱の仕合という展開になっていく。

 都立日野は木下君がやや力が入りすぎという感じではあったが、力強く投げ込んでくる。駒込は背番号14をつけた山端君が落ち着いたプレートさばきを見せる。マウンド周りの打球の処理も巧みだ。そんな山端君を強打を売り物としている都立日野打線もやや攻めあぐんでいた。

 試合が動いたのは5回。都立日野は一死から四球と木下君の安打で一二塁とすると、ここで1番三浦悠雅君が右中間へ二塁打して2者を帰して逆転。さらに都立日野は小山君が左前打でつなぐと、3番樋口君も左中間深いところへ三塁打して2者を帰す。さすがに、ここで駒込の金丸健太監督は山端君を三塁に回し、マウンドには安達君を送り出した。その安達君に対しても都立日野は攻める。四球と、廣岡君の二塁打、鈴木達哉君の左前タイムリー打などで、この回一気に6点を奪った。ようやく、都立日野の強力打線が爆発した。

 一転、追いかける立場となった駒込はその裏、二塁打の小倉君を二塁に置いて4番三浦竜蔵君が、右前打して1点を返した。ベンチでは、「4番へ回せ」の声が上がっていたが、それだけ信頼も厚いということであろう。三浦君はそれに応えて、頼れる4番打者ぶりを示していた。

 途中から雨が降ってきた試合は、6回頃から雨脚が激しくなってきたが、そんな中で8回、都立日野打線は再度爆発。木下君のこの回だけで2本の二塁打や樋口君のこの日2本目の三塁打など打者11人で7安打に四球や暴投もあって7点が入った。


 こうして、終わってみたら大差の試合にはなったものの、試合前半のお互いの辛抱戦は見ごたえはあった。

 「前半は、相手投手に丁寧に投げられて、打線も打てると思ってボール球に手を出したりしていました。ただ、一つ爆発すれば、こういう力はあるとは思っていますので、何とか点が入りさえすれば、何とかなると思っていましたが、それが2度出たというところでした」と、都立日野の嶋田雅之監督は振り返っていた。

 この日、2本の三塁打を放った樋口君は主将としてチームに関しては、「元気のいいチームです。ビッグイニングを作れる勢いはあると思っていました」と分析。また、自身の三塁打に関しては、「前の2打席。引っ掛けてあげてしまっていたのですが、エンドランがかかっていたので、芯に当てていかなくてはいけないという思いでスイングしたのがよかった」と語ってくれた。冷静に試合の流れを見られているところにも、都立日野のチームとしての質の高さが感じられた。

 「8年目になりますが、チームの身体能力としては史上最悪の状態でした。正直、よく本戦に出られたと思う。それだけ頑張った成果でしょう」と、選手たちの頑張りを評価している駒込の金丸健太監督。一次予選後には、左右の両振りで1日1000スイングを課してきたという。逆振りもすることによって、バットコントロールが向上してきたという。

 その成果を発揮してこの日は4打数4安打。打点2の三浦竜蔵君は、プルヒットだけではなく、右へもおっつけて左右に打ち分けていた。自分でも、「スイング軌道が整ってきた」ということを実感しているという。

 これから一冬越えて、さらにスイングを続けていくことで、春への成長が期待される。

(記事=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!