試合レポート

市立和歌山vs東播磨

2020.10.18

市立和歌山・小園健太が11奪三振!東播磨・鈴木悠仁との1点差ゲームを制し、選抜へ一歩前進!

市立和歌山vs東播磨 | 高校野球ドットコム
雄たけびを上げる小園健太

 2021年のドラフト注目投手と既に評価されている市立和歌山小園健太。それに向かっていったのが兵庫2位・東播磨。過去に甲子園出場の実績を持つ福村順一監督が率いる実力校の試合は1点を争う投手戦となった。

 それは小園のピッチングはもちろんだが、東播磨鈴木悠仁のピッチングも大きい。セットポジションから動き出し、真っすぐに足をあげながらも少しだけ身体を捻って軸足にタメを作っていく。バランス良く立ちあがると、胸を見せないように開きを我慢したまま並行移動する。

 肘から前に腕が出てきて最後に腕が出てくるため、出所が見にくくい。対戦する打者からすればタイミングが取りにくいフォームになっているのではないだろうか。

 ストレートを軸にしつつ、鋭く変化するスプリット系のボールに、球速が落ちるが、大きく変化するスライダーと三振を取れるボールもあり、レベルの高い投手だ。

 小園と鈴木の好投手の投げ合いで試合は4回まで無得点。息詰まる試合となったが、先に風穴を開けたのは東播磨。5回に一死二、三塁から8番・島津 知貴の内野ゴロで三塁ランナーが生還。これで東播磨が先制した。

 流れに乗りたかった東播磨だが、市立和歌山がすぐさま反撃。6回に先頭の5番・田中 省吾が同点となるホームランで振り出しに戻すと、勢いそのままに9番・杉本 明弘のタイムリーで勝ち越しに成功した。

 リードをもらった市立和歌山・小園は後半に入っても安定の投球。ノーワインドアップからすっと足をあげてバランスよく1本足で立つと、そこからはスムーズな重心移動で力を前へ運んでいき、右腕は体の近くでコンパクトに使うのが印象的な小園の投球フォーム。

 ストレートに加えて2種類のツーシームやカットボール。さらにはカーブ、スライダーと多彩な変化球を織り交ぜてアウトの山を築き、ランナーを背負っても東播磨にホームを踏ませない。

 そのまま市立和歌山東播磨に反撃を許さずにゲームセット。2対1の緊迫の投手戦を市立和歌山が制した。



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東播磨・鈴木悠仁

 勝った市立和歌山はホームランを放った田中や、思い切りの良いスイングに加えて二塁送球1.9秒を計測する4番捕手・松川 虎生と各打者がシャープかつ鋭いスイングを見せているのが印象的。

 そして守備では内野は機敏な動きと正確なスローイングをみせ、外野は肩の強さをシートノックで見せるなど実力をもらった選手がそろっており、攻守にわたってバランスがいいチームという印象を受けた。

 次の試合に勝利すると、来春の選抜がほぼ確実となる。エース・小園は「ロースコアが考えられたので、自分がどれだけ抑えられるかだと思っていました。ただ6回に点数取ってもらって楽になりました。次勝たないと選抜が見えないと思うので、次もしっかり勝ちたいです」とコメントを残した。

 一方で敗れた東播磨は県大会で見せてきた走力を存分に発揮しきれなかった印象。ただ、直接的に試合に繋がることではなかったが、送球の延長線上には必ずカバーリングに選手がいた。普段の練習から次のプレーまできちんと想定して、小さなことまで徹底されていなければできないことであり、鍛えられていることが考えられた。

 エースの鈴木は、「どの試合でも無四球で投げることを目標にしているので、冬場もそれが出来るように頑張りたいと思います」とコメント。強豪揃う兵庫で再び上位進出できるか、鈴木の投球に注目していきたい。

(記事=田中 裕毅)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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