日大豊山vs都立江戸川
日大豊山が好機に長打が相次ぎビッグイニング作り快勝
5回で12三振を奪った日大豊山・玉井君
前日の雨で、開幕が一日遅れた秋季東京都大会。コロナ禍で様々な制限はあるものの、この日から都内6会場で開催されている。
今春に四商から江戸川に異動して就任した園山蔵人監督。ノーサイン野球を掲げて、それを「セルフジャッジベースボール(SJB)」と呼んでいる。果たして、その戦術が甲子園出場実績もある強豪日大豊山相手にどこまで通用するのか注目したいところでもあった。
そんな江戸川に対して日大豊山の先発の左腕玉井君は歯切れの良さとリズムのいい投球で初回はスイスイと三者三振で切って取った。また、江戸川の白川君も死球こそ一つ与えたもののまずは打たせて取る無難な立ち上がりで守り合いの好試合が予想される試合の入りだった。
2回は、5者連続三振後に江戸川の初安打は白川君の三塁打となるが、玉井君はここを三振で切り抜ける。そしてその裏、一死後日大豊山も市沢君が初安打を放つと、すぐに二盗し和田君の安打で一三塁となると、ボークで生還して先制点が入った。
さらに3回には1番からの好打順の日大豊山は高橋君が左越二塁打すると、米田君のバントが安打となり、義金君が右線へ三塁打して2点を追加。なおも四死球に小川君の安打などで一点を追加しなおも満塁としたところで、玉井君が一掃の右越三塁打を放った。
江戸川は右翼手の柳橋君をリリーフに送り、何とか凌いだが、この回6点というビッグイニングとなってしまった。日大豊山としては、走者が溜まったところで長打が出るという効率のよさだった。
4回にも日大豊山は小川君の二塁打と犠飛で2点を追加。江戸川の反撃の意欲をそいだ。そして、6回からは荒木君がリリーフして、そのまま逃げ切った。荒木君も安打こそ許したが、六つのアウトはすべて三振だった。
福島直也監督は、「試合前に、江戸川の投手がブルペンで投げているのを見たら凄くよかったので、これはロースコアの試合でイメージとしては2点くらいかなと思っていました。それが、2回にラッキーな点が入って、3回にはたまたまいいところで長打が出たのでこういう形になりました。だけど、始まった時はどうなるかなと思っていました」と大勝にも慎重だった。
そして、「打撃は水物なので、引き締めていかないといけない」とコールド勝ちにも奢らずという姿勢を示した。「ウチは守りのチームなので、今日は両投手がよく投げてくれた」と奪った点もさることながら、投手陣の踏ん張りを評価した。
玉井君自身も、「立ち上がりは、ちょっと球数が多かったのですが、試合中に修正できたのがよかった」と冷静だった。自身の投球に関しては、140キロ近い真っ直ぐで押して、スライダーで引っ掛けさせるというのが持ち味だという。終盤の併殺などはそれができたということであろう。
終わってみたら、7回で18三振を奪われてしまった江戸川。園山監督は、「攻撃ではセルフジャッジを示すシーンがほとんどありませんでした」と残念がった。それでも、「守りに関しては、ポジショニングなどのセルフジャッジが、上手くハマっていたところもあったので、成長を感じられた」と成果を上げていた。そして、「チームとしては、まだまだ、伸びしろはいっぱいある」と、この負けをバネに、これからの成長にさらに期待を寄せていた。
(記事=手束仁)