明徳義塾vs高知中央
明徳義塾「必然の」8年連続秋季四国大会切符
2回表明徳義塾二死一・三塁から先制2点二塁打の1番・井上航輝(1年・中堅手)
普段は強いスイングを生み出す身体能力を利し、満を持して先発マウンドに立った板谷 朋生(2年主将・投手兼遊撃手・170センチ70キロ・右投右打・南国ヤングマリナーズ出身)は自己最速タイの144キロ、3番手の吉岡 稔貴(2年・171センチ60キロ・右投左打・南国ヤングマリナーズ出身)も自己最速となる142キロ。改めて選手個々の高い能力値を高知中央が示すも、結果は明徳義塾の完勝だった。
その根底にあるのは相手の弱みを突ながら、自らが輝く彼らならではの洞察力。象徴的なのは2回表の4点先制に至る流れである。安打で出た先頭打者を犠打、二ゴロで三塁まで進め、さらに死球を得て迎えた二死二、三塁で打席に入ったのはドラフト候補・奥野 翔琉(3年)の定位置だった「1番・中堅手」を継ぐ井上 航輝(1年・右投右打・167センチ60キロ・河南リトルシニア<大阪>出身)。
1球目のインコースを見逃した井上は「次もインコースが来る」と予測すると、狙い通りに板谷が自信を持って投じたインコースのカットボールを三塁線に鋭く運ぶ先制2点二塁打。
「先制された時点で板谷を交代させることは決めていた」(重兼 知之監督)高知中央にとっては痛すぎるこの一打により精神的にも優位に立った彼らは、なおも二死一、二塁から3番・米崎 薫暉(2年主将・遊撃手・右投右打・171センチ74キロ・茨木ナニワボーイズ<大阪>出身)が「外角にしかボールは来ないから踏み込んで打てと(馬淵 史郎)監督に言われた」指示を体現する右中間を深々と破る2点三塁打。これで試合はほぼ決まった。
ここに最速135キロながら「高さを常に意識していた」スライダーが自在に決まり7回87球4安打5奪三振無四死球。「丁寧に投げていた」と指揮官も褒め称えたエース・代木 大和(2年・左投左打・182センチ75キロ・川之江ボーイズ<愛媛>出身)の0封も加わり、9対0・7回コールドで「必然の」8年連続31回目の秋季四国大会出場権を手にした明徳義塾。
昨夏高知大会以来となる県頂点をかけた決勝戦で彼らは「ぜひ先発で投げてほしい」(馬淵監督)高知・森木 大智(2年)の攻略へ向け、これまで積み上げたものを全部出し切る覚悟である。
(レポート=寺下 友徳)