愛知vs半田
6回、ワンチャンスで逆転した愛知が、継投で何とか半田を振り切る
6回にタイムリー二塁打を放った愛知・光森君
先日、来季の選抜大会のスケジュールも日本高野連から発表されたことで、この秋の大会を戦う選手たちにも具体的な目標が明らかになった。新型コロナで苦しめられた高校野球にも、着実に回復の兆しが見えてきたと言っていいであろう。
県内5地区の予選を勝ち上がった50校による秋季愛知県大会はこの日から始まった。
まだまだ暑さの残る中での試合となった。先制したのは半田で初回、簡単に二死を取られた後、岩山君、川尻君と中軸の連打と四球で満塁として、6番・竹内啓泰君がしぶとく中前へはじき返して三塁走者を帰した。半田は2回、3回も細かく安打を放って、愛知の先発・羽田君を引きずり下ろす。
そして、守っても背番号4をつけていながら先発マウンドに立った岩山君がセンスの良さを生かして好投。試合の流れは、当たり損ないが安打になるなどのラッキーもあって5回まで毎回安打を記録した半田が主導権を持つ形で進んでいった。
しかし、半田も追加点が取れないまま中盤にさしかかっていく展開は必ずともいいものではない。半田としては、結果的に悔やまれることになったのは3回だった。この回先頭の3番・岩山君が中前打すると、続く川尻君は警戒されての四球で無死一、二塁。
バントで進めて一死二、三塁というところで、半田の後藤浩介監督は「打たせて、何とか転がしていって、ゴロGOで行くかスクイズで行くか迷った」と言うが、結局スクイズを選択してこれが飛球となってしまい併殺。後藤監督は「転がしていてくことを選択すれば…。監督としての采配ミスですかね」と悔やんだ。
強打を示した半田の4番、川尻君
次の得点がどう動くのかで試合は左右されていくかなと思われた流れとなった矢先の6回。愛知は9番・小林大悟君の安打と澤野君の内野安打で一、二塁とする。一死二、三塁となって、3番・中神君の中犠飛でついに同点。これで試合の流れが変わったのか、さらに二死二塁で、赤毛君の一打はややラッキーな二塁打となって逆転。さらに光森君も一塁線を破る二塁打でこの回3点となり、愛知が逆転した。
まさに、ワンチャンスを生かしての逆転という形になった愛知だが、このリードを4回からリリーフしていた右サイド気味のやや変則タイプの清水君がよく堪えて守った。
そして9回には、飛田陵佑監督から、「3、4番に回ったら行くぞ」ということを伝えられていた背番号1番をつけた左腕堀君が気合十分で二死一塁のマウンドに立ち、気迫の投球。鋭いスイングの岩山君を三振で切って取ってその任を果たした。
今年の新チームになった時に、前任の錦敦人監督(現責任教師)から引き継いだ飛田監督。「県大会初戦ということもあって、硬いところもあったけれども、何とか粘り切れてよかった」とまずは安堵していた。
継投に関しては、「先発の羽田がどこまで持ち堪えられるかというところだったのですが、3回で6安打ですか。捉えられていたので思い切って代えました。清水は、予選でもそうだったのですが、ある程度試合を作れます。それで、何とか流れを変えていこうと思っていたのですが、よく粘ってくれました」と2番手・清水君の好投を評価していた。
半田は、3番4番の中軸がしっかりとしており、例年に比べて打線は打てるなという印象ではあった。実際、この試合でも13安打と安打数では愛知の7本を大きく上回っていた。
あとは、打線がどうつながっていくのかということと、ここぞというところで長打を出せる爆発力があれば面白いチームになりそうだ。つまるところ、岩山君と川尻君の前にいかに走者を溜められるかというところであろう。
後藤監督も、「1年生は、川尻だけではなくかなり能力の高い選手も多くいるので、伸びしろとしては大いに期待できる」と、この負けをバネにさらなる誓っていた。「まだ、全尾張の(知多)予選もあります。勝って行けば大府と当りそうなので、そこも一つの目標です」と先を見据えていた。
(取材=手束 仁)