試合レポート

桜林vs渋谷幕張

2020.08.25

ベンチ入り17名の桜林が渋谷幕張との総力戦を制し、3年ぶりの県大会進出!

桜林vs渋谷幕張 | 高校野球ドットコム
雄たけびを上げる酒井(桜林)

 渋谷幕張桜林との一戦。渋谷幕張は千葉県トップクラスの進学校として有名だが、面白い選手がいる。

 先発の佐伯豪栄は腕の振りから見ても筋の良さが伝わる右の本格派。左足を高く上げてから右足でしっかりと立ち、左腕のグラブを投げる瞬間にぐいっと挙げてスリークォーター気味に振り下ろすフォーム。ストレートは常時120キロ前半~128キロの速球はまずまずの勢いがあり、高めでも空振りを奪うことができる。110キロ前後のスライダーの切れも悪くない、手足が長く、腕の振りもしなやかで、高校2年秋の段階として合格点。いずれは135キロ~140キロも期待できる逸材である。また4番黒武者もなかなかパワフルなスイングを見せる左の強打者だった

 一方、桜林の先発・鈴木敬太は110キロ前半の直球はすべてに微妙に揺れ動くもので、打てそうで打てないものがある。リードする鈴木陽也は「ナチュラルに動きましたし、その証拠に綺麗に音を鳴らせないんです」
 最後まで動くからこそ打ちにくさがあるのだろう凡打の山を築き、5回まで0対0で試合を降り返す。

 試合の均衡が破れたのは6回表、一死満塁から5番前田朋哉が痛烈な一ゴロ。一塁手・黒武者は長いリーチを生かして捕球し、本塁へ返球するが、野選となり、桜林が1点を先制。そして6番田中もファールで粘って押し出し四球で2点目を入れる。さらに1点を追加し、3点を先制する。

 7回裏、渋谷幕張は二死三塁から代打・高林が左翼線を破る適時二塁打を放ち、1点を返す。試合はいまだ読めない展開に。さらに8回裏、渋谷幕張は一死三塁。4番黒武者を迎えたところで、夏では背番号1だった酒井を投入。左腕から120キロ前後(最速123キロ)の速球、スライダーを駆使する投手。黒武者を歩かせ、併殺崩れの間に1点を入れ、渋谷幕張は1点差に。さらに6番深山の右中間を破る適時二塁打でついに同点に追いつく。

 しかし9回表、一死一塁から2番飛田遥音がライトの頭を超える適時三塁打で勝ち越しに成功。さらにバッテリーミスも飛び出し1点を追加。4番・鈴木陽は「だんだん調子が上がっていたのでヒットを狙いにいこう」と心に決めた打席はライトの頭を超える三塁打。5番前田が右前適時打を打ち返し、6点目。試合を決定づけた。

 そして酒井が締めて桜林が3年ぶりの県大会出場を決めた。

 ベンチ入り17人だが、みっちりと練習を積んできたのか、特に守備面では粘り強い守備があり、さらに打撃もしぶとさがあり、クリーンナップを中心に振れる選手が多く、まとまりのある好チームだ。

 この秋からチームを率いる渡邉泰介監督は「今年は長打力のある選手もいなく、大量点をとれるチームではないので、試合中から粘る重要性を話していました。2年生8人は夏を経験しているので、その経験が生きていると思います」
 夏の公式戦を戦った経験をしっかりと生かしていた。主将・増田は「課題は多いんですけど、まずチームとして勝てたことは非常に良かったです。ただこのままでは県大会で通用しないので、しっかりと練習をしてレベルアップしていきたいです」

 3年ぶりの県大会で今の2年生は県大会を経験していない未知の舞台となる。
主将の増田はこう意気込んだ。
「初めての県大会となりますが、来年の春、夏につながる大会にしたいと思います」

 選手17名と小世帯だが、野球はきっちりとしており、この秋の県大会でしっかりとステップアップできれば、来春以降が楽しみなチームであることは間違いない。

 そして敗れた渋谷幕張も最後まで競り合いを演じた。
選手の力量も低くなく、しっかりと積み上げができれば、もっと勝てるチームになれる可能性はある。

(記事=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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