広島新庄vs天理
天理の矛と広島新庄の盾は広島新庄に軍配!エース・秋田駿樹の巧みな投球術が強力打線を封じ込める!
秋田駿樹 ※2020年1月の野球部訪問より
強豪ひしめく近畿地区を強打で昨秋を制した天理。核弾頭・下林源太に河西 陽路などのスラッガーが揃う。それに相対するのは中国地区でベスト4に入った守備が武器の広島新庄。2年生左腕・秋山恭平などの投手陣を中心にリズムを作っていく。矛と盾の一戦は緊迫の一戦となった。
それを成立させたのが、広島新庄のエース・秋田駿樹だ。サウスポーの秋田は一塁側のプレートを使ってノーワインドアップから始動していく。右足を上げた時に少し体をひねり、なおかつ重心移動する際に股関節を引き込むことで、しっかりと下半身にタメを作った状態を作る。
その力を無駄なく指先に伝えていき、スリークォーター気味の高さから脱力した左腕から130キロ台のストレートに大きく曲がるスライダーを投げ込む。
序盤は高く浮いていたこともあり、2回に天理7番・田中 輝希のレフト前などでピンチを招き、味方のミスで失点。4回に広島新庄は1番・大可 尭明の犠牲フライなどで2対1と勝ち越しながらも、直後の守備でバッテリーミスで失点となかなか守り切れない。
しかし次第に秋田の持ち味である低めに投げ込むことが出来るようになると、天理打者はバットが止まらず空振り。もしくは体制を崩された形でゴロやフライアウトが増えていった。ストライク先行でピッチングを展開できるようになり、広島新庄らしい守備からリズムを作る展開ができ始めた。
達孝太 ※2019年11月4日の秋季近畿地区大会より
すると勝ち越したい広島新庄は5回に4番・杉井 秀斗の四球からチャンスを作り、6番・明光 竜之介の二塁打で3対2と勝ち越しに成功。8回には1番・大可のダメ押しとなるタイムリーで試合を決めて、最後は7回からマウンドに上がっていた2年生・秋山が天理打線に反撃を許さずにゲームセット。広島新庄が4対2で天理を下した。
広島新庄の先発・秋田は結果的に6回まで投げて失点2と、強力・天理打線相手にしっかりゲームを作った。「マークするべきだ者は何で攻めるか決めていましたが、基本的には低めにボールが集めることを大事にしていたので良かったです」と試合後にコメントした。
一方、強力打線を封じ込められた天理。下林や河西が封じ込められたことで、らしさを発揮しきれなかったが、次に繋がる結果も残した。最終回にエース・庭野 夢叶に代わって、2021年の注目投手の1人・達 孝太が2つの三振を奪うピッチング。ストレートも143キロをマークするなど、存在感を残した。
その達は「チームは全国制覇を目標としていますので、甲子園で優勝したい気持ちはあります」と来年以降の甲子園での活躍に静かに闘志を燃やした。新生・天理はどんなチームになるのか楽しみだ。
(取材=田中 裕毅)