国府vs成章
東三河の公立伝統校対決は、国府が成章に昨秋の雪辱を果たす
国府先発投手・足立進悟君
[stadium]豊橋市民球場[/stadium]をメインとして進行してきた東三河地区ブロックは、ベスト8を競う争いとなる4回戦へ向けて豊川、豊橋中央、愛知桜丘の3強が既に進出を決めている。残り一つの椅子を巡っての争いとなった。その試合が、日程の都合で西三河地区の[stadium]岡崎市民球場[/stadium]で行われるということになった。
東三河の公立校としては、どちらも歴史を背負っている伝統校同士だ。国府は1975年夏に下手投の青山久人投手(中日→南海)を擁して初優勝し甲子園出場を果たしている。
成章は1972年と2008年春にセンバツ出場を果たしている。08年は現ヤクルトの小川泰弘投手を擁して甲子園初勝利も果たしている。そんな実績も背負っている両校の対戦となった。
朝から心配された天候も少しポツリと来たことはあったが、一度の中断もなく第3試合も予定より早くプレーボールとなった。
初回、ともに先頭打者が安打で出たが、成章はバントで進められたものの後続が国府の足立君に抑えられた。国府は守備妨害があったものの、伊東君が二盗三盗と決め二死三塁から四番加藤駿介君が中前打で帰して先制点を挙げた。
さらに2回にも国府は二死走者なしから8番鈴木康介君が中前打すると、続く信田君が左翼線の三塁打で2点目。さらに1番へ返って松尾君も右線二塁打して3点目。序盤で国府が有利に試合を作っていった。
反撃したい成章は5回に先頭の5番夏目君が左中間へ三塁打すると、続く鈴木海宇翔君が中犠飛を放って何とか1点を返した。
しかし国府はすぐにその裏、二死走者なしから3番鈴木快晴君と加藤駿介君の連打の後、5番の足立君が左翼線へ落してこれが二塁打となり二者が帰って突き放した。さらに、6回にも2番伊東君の右前適時打で追加点を挙げた。
そして、先発した左腕足立君が6イニングを投げ、7、6回は長谷川君が抑え、9回に足立君が再登板して3者凡退で抑えた。
展開としては終始国府が自分たちの主導権での試合となった。改めて、力が均衡している同士では先取点が大きく左右するということを示したとも言えよう。
国府の大城崇紀監督は、予想以上の快勝に素直に喜んでいた。
「去年の秋は、コールド負けしている相手なので、何とかリベンジを果たしたいと思っていました。その思いが果たせて、いい試合が出来たと思う。これで、東三河の公立校として最後の1枚を維持出来たことは、チームとしても大きい」
伝統校としての誇りもしっかりと記しながら、次へつないで行けたことを喜んだ。
一方、成章の河合邦宗監督は、「攻撃重視のオーダーを組んだんですけれどもね…、なかなか機能しませんでした」と悔やんだ。試合展開としては、「2点目と3点目の取られ方がよくなかったですよね。あれで相手に気持ちよく試合をさせてしまいました」と振り返っていた。
それでも、特別な夏となった今年に関しての思いは格別だったようだ。
「正直、最後は3年生に一度だけでも打席に立たせてあげようという思いで起用した子もいました。もちろん、勝負は大事なんですけれども、(今年はもうダメかと思った時もありましたが)最後にユニフォームで終わらせてあげられたのはよかったと思います」
(取材=手束 仁)