昭和一学園vs都立光丘
野村克也氏の教え子・田中善則監督率いる昭和一学園がコールド発進。野村氏の教えを活かし2回戦へ
昭和一学園・風戸佑斗投手
昭和一学園の田中善則監督は、試合後開口一番、「試合はいいですね」と語った。
コロナの感染が広がり始めた3月からチームとしての練習ができない状況が続き、チーム練習を再開したのは、6月22日からだった。シダックスで2月に亡くなった野村克也氏の教えを受けた田中監督は、自粛期間中、恩師である野村氏の本を読むよう生徒に指導した。主将の田中壮汰は、「そなえ」という本を読んだという。「結果だけでなく、結果にいくまでの準備が大事であることを、改めて学びました」と田中壮主将は言う。秋は1次予選で日体大荏原に完封負けして都大会出場を逃した。それだけに、自粛期間中もしっかり振り込んで、試合ができる日に備えた。
その成果を示す場面が、いきなり1回裏に訪れた。1安打と2四死球で無死満塁。4番の田中壮は「力みがありました」と言うものの、しっかり中犠飛を打ち、昭和一学園が1点を先制した。さらに二死満塁のチャンスになり、7番の風戸佑斗は遊ゴロ。遊撃手が二塁に送球してチェンジかと思われたが、一塁に投げて、これが悪送球になり、2人が生還した。練習ができなかったのは、都立光丘も同じ。久々の公式戦とあって、冷静な判断ができなかったようだ。
昭和一学園の先発は、好投手の風戸佑斗。風戸もやや力みはあったものの、球威はある。都立光丘打線は押されながらも、必死に食らいついた。2回表一死一塁から6番の吉田裕貴は振り遅れながらも打球はライト線への二塁打となり、二、三塁。さらに7番・田中真哉は詰まった当たりではあったが左前安打となり、都立光丘が1点を返した。
その裏、都立光丘の先発、左腕の岡谷内詠が昭和一学園を0点に抑える。しかし、昭和一学園の風戸も落ち着いた投球をするようになり、安打を打つのも難しくなる。
4回裏、都立光丘の先発・岡谷内の制球が乱れ出し、本来のエースである田中真哉がマウンドに上がったが、田中も乱調で四死球が続き、昭和一学園はこの回一挙6点。5回表に都立光丘は内野安打1本を記録したものの、風戸が余裕のある投球で得点を許さず、11対1、5回コールドで昭和一学園が勝利した。
都立光丘は相手の好投手・風戸に食らいつき、意地はみせたが、自粛期間が長かったこともあり、何か重さがあったように思う。一方、昭和一学園は、勝って試合を続けることで、さらに力をつけるのではないか。夏の戦いは、始まったばかりだ。
(記事=大島 裕史)