試合レポート

健大高崎vs倉敷商

2019.11.15

タイブレークの末に、満塁弾で健大高崎が進撃

健大高崎vs倉敷商 | 高校野球ドットコム
好投を見せた下慎之介

試合中のギャラリーは18日に公開予定です。

 この日に開幕した明治神宮野球大会。今年は、始まってから50年目となる記念大会である。ただ、高校の部は第4回大会から始まっている。そして、この試合では、その第4回大会で優勝した若狭の当時の内藤投手が始球式を行って始まった。

 群馬県大会3位から関東大会を制した健大高崎と岡山県2位から2試合の延長戦を勝ち上がるなどして中国大会を制して進出してきた倉敷商

 健大高崎は左腕下君、倉敷商は背番号5の福原君が先発マウンドに立った。2回、倉敷商は福島君の二塁打と田村君の三塁内野安打で無死一三塁とするものの、連続三振で二死。ここで三走福島君は果敢に本盗を試みたが、健大高崎バッテリーも冷静に刺した。しかし、機動力を売り物にしている健大高崎のお株を奪うかのような倉敷商の仕掛けは積極的だった。

 一方健大高崎は3回まで毎回、二死から四球の走者は出るものの、2つの盗塁を刺されてしまっていた。4回には先頭の小澤君が四球で出ると、一死後5番山本遼哉君が思い切ってスイングした打球は左越二塁打となり一走小澤君を迎え入れて先制。5回にも健大高崎は戸丸君、山畑君のない打線の連打で無死一三塁を作って1番に回ったものの、スクイズ失敗とゴロGOアウトで得点にならず。倉敷商は福家君から永野君につないで何とか凌いだ形となった。

 そして、追いかける倉敷商は6回、9番山本完次君が巧みにバント安打すると送球ミスもあって無死二塁。内野ゴロで三塁へ進むと、一死三塁から原田君の中犠飛で同点となる。

 しかし、8回に倉敷商は無死で二塁打した淺野君を返しきれないなど、ここからどちらももう一つ攻めきれない状態となり、そのまま延長タイブレークに突入した。

 継続打順で無死一二塁という条件でのスタートとなるが、健大高崎は2番戸澤君からという願ってもない打順からとなった。「打順もいいし、タイブレークになった時からバントはなしにしようと思っていた」という健大高崎青栁博文監督。初球を叩いた戸澤君の打球は投ゴロ併殺かと思われたが、わずかにリズムが狂ったのか悪送球となってしまって、わずか1球で1点が入った。その後四死球が続いて押し出しで2点目。さらに満塁が続く状況で、5番山本君が左翼席へ満塁本塁打を叩き込んだ。これは、さすがに決定的な一打となったようだ。

 その裏、倉敷商も7番淺野君が安打して満塁まで攻めたものの、代打攻勢も及ばなかった。

 健大高崎青栁監督は、「接戦にはなると思っていましたが、まさかタイブレークになるとは、考えていませんでした。下は制球がよく、この試合は任せられた。序盤は失敗してもいいからと、スクイズも試みたが、ことごとくダメでした」と反省もしていた。それでも、「明治神宮大会は、夢でもありましたから、出られて嬉しい」という素直な感想である。この秋から、ユニフォームの胸文字を漢字で「健大高崎」だったものから、初出場当初の「KENDAI」というものに戻した。この夏、初戦で敗退したこともあって、「初心に戻ろう」という意識も含めて戻したという。復活した「KENDAI」のタテジマは、新たにミラクルな強みを示すチームとなってきているようだ。

 倉敷商の梶山和洋監督は、「先発投手は、5回を投げ切ってほしかった」と口を切った後、「最後の最後に守りのミスが出ていたのでは、全国のレベルでは勝てません」と、この冬から来春に向けて、もう一度「私も含めて勉強していかないといけません」と、来春を見据えていた。

 

(文=手束 仁

試合中のギャラリーは18日に公開予定です。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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