国士舘vs修徳
国士舘、修徳の追撃から逃げ切る!7番・齋藤5打点の活躍
中西健登(国士舘)
大会もいよいよ準々決勝。そして、60年近くに渡り東京の高校野球の舞台であった[stadium]神宮第二球場[/stadium]での公式戦も、この週末だけになった。
その第1戦は、前年秋の優勝校・国士舘に、伝統校の修徳が挑んだ試合になった。修徳の先発は、3回戦に続いて1年生の床枝魁斗。球威はあるものの、やや荒れ球の床枝が、四球でピンチを招くのは、いわば織り込み済み。1回、2回、3回と四死球でピンチを招きながら、国士舘に得点を与えないのは、修徳のペースと言える。
それでも永田昌弘監督が、体型などを見て、高校に入ってから投手にコンバートさせた中西健登が、サイド気味のフォームからキレのある球を投げて、修徳に付け入るスキを与えない。
先制したのは国士舘だった。5回裏、2番・伊藤優の当たり損ねの一ゴロが内野安打になったのに続き、3番・清水武蔵の右前安打、4番・黒澤孟朗の四球で満塁。5番・鎌田州真の遊ゴロで1点を先制する。6番・吉田健吾のセーフティースクイズは失敗したものの、なおも走者2人を置いて、7番・齋藤光瑠が左中間を破る二塁打を放ち、2点を追加。続く8番打者で先発投手でもある中西が右中間を破る三塁打を放ち、この回一挙4点を入れた。
試合が動き出すと、修徳の反撃も始まる。6回表は無死一、三塁から3番・大澤太一が右中間を破る二塁打を放ち、2点を返す。しかしなおも続く無死二塁のチャンスで、得点を奪えなかったのが、修徳としては響いた。
その裏国士舘は、二塁打の1番・折田大和を犠打と内野ゴロで還し、1点を追加すると、二死から、4番・黒澤の中前安打、5番・鎌田の四球、6番・吉田の右前安打で満塁となり、前の打席で二塁打を放った齋藤がセンターオーバーの三塁打を放って満塁の走者を一掃した。
5打点の齋藤は、1回戦では2番打者。「齋藤は膝が柔らかい」と言う永田監督としては本来なら3番を打たせたい選手だ。7番打者とは思えない振りの鋭さで国士舘優位の展開に持ち込んだ。
それでも修徳にも粘りがある。国士舘の先発・中西が、「疲れがありました」という8回表、修徳の1番・間島玉喜の四球、2番・19645の内野安打の後、3番・大澤、4番・中西陸の2者連続の適時打で2点を入れて追い上げる。それでもここから国士舘の中西は踏ん張り、8回はさらなる失点は許さず、9回表も三振2個を含め三者凡退に抑え、国士舘が修徳の追撃を振り切った。
追撃及ばず敗れた修徳であるが、先発の床枝、1番打者の間島など、伸び盛りの1年生が多く、伸びしろが大きいチームだ。
国士舘は永田氏が監督に復帰してから秋は4年連続でベスト4。優勝した昨年と比べ「走れる子がいない」と永田監督は言うものの、打撃はむしろ上との評価。ただ勝ち抜いていくには、中軸の黒澤、鎌田あたりが本来の打撃を取り戻せるかどうかに、かかっているのではないか。
(文=大島 裕史)