試合レポート

健大高崎vs常総学院

2019.10.21

1回戦屈指の好カードは健大高崎が制する!両チームともに逸材揃い

健大高崎vs常総学院 | 高校野球ドットコム
一條力真(常総学院)

【熱戦の模様をギャラリーでチェック!】

 健大高崎vs常総学院の一戦は2点を追う健大高崎は9回表、3番小澤 周平(1年)の同点2ランと勝ち越しスクイズで逆転し、初戦突破を決め、準々決勝進出を決めた。

 組み合わせが決まった時点で、好ゲームと期待されてこの一戦。やはり選手のレベルの高さに関東大会の1回戦でやるのは勿体ない試合となった。

 まず常総学院の先発の一條力真は、188センチの長身から角度のある直球を武器にする本格派。常時130キロ前半から138キロのストレート、120キロ前半の縦スライダー、120キロ近い横のスライダーをコンビネーションにする。この春から台頭した投手だが、春と比べると変化球の精度が上がったことで、ピンチの場面でも粘り強く投げられるようになった。

 だからこそ9回表の同点2ランが悔やまれる。
 サイズはドラフト候補しては申し分なく、ピッチングの精度も2年秋の段階ではまずまず。あと1年間、爆発的なレベルアップを見せていきたい。

 今年の常総学院打線はジャイアンツ3位指名の菊田 拡和などスラッガー揃いだった昨年と比較すると、どうしても劣るが、その中でもよい選手がいる。それが中山 琉唯だ。常総学院打線は唯一の長打を放った。コンパクトなスイング軌道でボールを捉えるのが特徴で、スローイングも2.00秒前後と安定した軌道で投げられる。肩の強さに自信を持っているのか、座りながら投げるスローイングを見せた。非常に悔しい逆転負けだが、頼れる活躍を見せていきたい。


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橋本拳汰(健大高崎)

 そして勝利した健大高崎。まずは殊勲者となった小澤周平を取り上げていきたい。小澤は169センチ70キロと小柄ではフルスイングをしながら、しっかりとコンタクトできるミート力の高さが光る左の巧打者。スイングスピードの速さはチームの中でも一番。第1打席からヒットを記録し、一條の速球にしっかりとアジャストしていた。そして9回表に高めに浮いたストレートを強振し、スタンドインさせた強打は見事だった。5打数3安打2打点の活躍を見せた小澤は準々決勝でも快打が期待できそうだ。

 投手陣では先発の下 慎之介は182センチ75キロの大型左腕で、コンパクトなテークバックから投げ込む直球は常時130キロ前半~130キロ後半を計測。120キロ前後のスライダーの切れもよく、ポテンシャルは非常に高いが、4回裏捕手、四球から崩れてしまったのは残念。この日は第1打席に左中間へ適時二塁打、第2打席も痛烈な右前安打と投打のポテンシャルは高いだけに波を少なくしていきたい。

 また3番手としてマウンドに登った橋本 拳汰も楽しみな大型右腕。191センチ85キロとがっしりとした体型。捻じりを入れたテークバックから投げ込む直球は常時130キロ前半~140キロ。120キロ前半のスライダーの切れもよい。走者を出すと球速が落ち、制球力も不安定になるところも見られ、まだ課題はたくさんあるが、それでも常総学院打線相手に5回を投げて無失点の好投を見せたのはさすがだった。

 その投手陣をリードする戸丸 泰吾(2年)は世代ナンバーワンの強肩捕手になるかもしれない。しっかりと持ち替えができた時のイニング間の送球はすべて1.8秒台だった。スローイングそのものもずば抜けて速いが、何より持ち替えが速く、コントロールもよい。打撃も4打数2安打を記録。トップがやや浅く、コンパクトに捉える打撃で、ミート力も高い右打者。過去の試合では県大会準々決勝でコールドを決める3ラン、秋田県で行われた招待試合で本塁打を放つなどパンチ力もある。打撃が本格化し、大舞台でも長打を打つことがあれば、評価が急上昇する可能性は十二分に持っている。

 とはいえ、試合内容を見ると、走塁ミス、判断ミスなどいろいろとミスは多い。そういうミスを減らしながら、隙の無いチームへ成長してほしい。

(文・=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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